nanapi古川健介【第2回】「誰が言ったかより何を言ったか」が重視され、コンテンツの質が問われる時代になる

2014年10月18日(土) 佐々木 俊尚
upperline

いかに優秀な書き手をいかに確保するかが課題

古川 これは匿名掲示板の考え方に近くて、「誰が言ったかより何を言ったか」が重視されるので、結果的にコンテンツのクオリティがあがるゲームになっていくんです。新聞社が言ってもブロガーが言っても関係なくて、質がいいほうがコンテンツとして勝つわけなので。

佐々木 それはすごい話ですね。日本の新聞社が聞いたらひっくり返りそう(笑)。ブランディングの存在しないコンテンツ、ということか。たしかに、「誰が言ったかより何を言ったか」が大事だと、ブランディングが必要ないのか。

古川 たとえば朝日新聞が言うと正しいわけじゃなく、内容がよければいいというほうが、おもしろくならないかなぁ、と。

佐々木 2ちゃんねる的なシニカルな文化というよりはアーキテクチャですね。メディアとして再構築するとそうなるのか。おもしろいなあ。その場合のビジネスモデルは、ネイティブ広告的なものになるんですか?

古川 うーん、ビジネスの話になるとわからないです。どうなるんでしょう(笑)。ただ、インプレッションだけになると戦いとしては全員がつらいですね。とにかく、質の高いコンテンツを作る体制を作ってクオリティをあげないと、1000あるサイトのうちの1つになってしまいます。

佐々木 レッドオーシャンになるのは目に見えていますからね。これからコンテンツに向かうという新しいトレンドが始まるとしたら、いよいよ、新聞社や出版社の記者の取り合いが始まるでしょう。ただ、雑誌の仕事をここ10年くらいしていて思うのは、フリーライターがいなくなってしまったということ。2006年くらいまで続いていた雑誌文化は、ここ数年で音を立てて崩れてしまった。特にジャーナリズム系雑誌は軒並み休刊ですよね。今、ようやく新興メディアで優秀な書き手の取り合いになっているのに、ミッシングリンクが10年くらいあって、優秀な書き手がいなくなってしまったんです。文化が消滅してしまった。だから、新しい書き手を探そうとなると、今正社員で働いている人しかいません。

古川 雑誌はライターを育てる場所だったんですよね。Webだとそうはいきません。

佐々木 原稿料も違いますからね。アスキーなんて、2000文字で数万円の原稿料を払っていたんですよ。特集ひとつで30万円とかして、それだけで食っていけた。そこでたくさん優秀なライターが育って文化を作っていたわけです。今も優秀なライターもいることはいるんですが、そういう人に仕事は集中しますから。

古川 優秀な一部のライターがたくさん稼いでいる状況だと思います。

佐々木 だから、「これからいよいよコンテンツの時代」となっても、いかに書き手を確保するかという課題が浮かび上がってくるでしょうね。

第3回につづく。

古川 健介(ふるかわ・けんすけ)
nanapi 代表取締役

1981年6月2日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2000年に学生コミュニティであるミルクカフェを立ち上げ、月間1000万pvの大手サイトに成長させる。2004年、レンタル掲示板を運営する株式会社メディアクリップの代表取締役社長に就任。翌年、株式会社ライブドアにしたらばJBBSを事業譲渡後、同社にてCGM事業の立ち上げを担当。2006年、株式会社リクルートに入社、事業開発室にて新規事業立ち上げを担当。2009年6月リクルートを退職し、Howtoサイト「nanapi」を運営する株式会社ロケットスタート(現・株式会社nanapi)代表取締役に就任、現在に至る。
佐々木俊尚(ささき・としなお)
作家・ジャーナリスト
1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部政治学科中退。毎日新聞社などを経て、フリージャーナリストとしてIT、メディア分野を中心に執筆している。

 

前へ 1 2 3 4

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事