佐々木俊尚「ブレイクスルーな人たち」
2014年10月17日(金) 佐々木 俊尚

nanapi古川健介【第1回】"儲かる"よりも"好きなことをやる"という選択肢を持ってメディアを立ち上げた

upperline
佐々木俊尚氏と古川健介氏
KDDIにHow toサイト「nanapi」を売却した(10月16日発表)ことで話題となっている株式会社nanapi代表取締役の古川健介氏。nanapiをUU(ユニークユーザー)月間2500万人までに育て上げ、海外向け情報サイト「IGNITION」やQ&Aアプリ「アンサー」を次々にリリースし、新しいアイデアを世に問うてきた。ジャーナリスト・佐々木俊尚氏がnanapiの目指す場所、海外進出、Web2.0、そして古川氏ならではのメディア観、コンテンツ論について切り込んだ(8月18日収録)。<構成/田中裕子>

「IGNITION」で初の海外進出。その理由は?

佐々木 お久しぶりですね。今日は、nanapi、そしてけんすう(注・古川氏の愛称)がこれからのメディアをどう捉えているのか、というお話を聞きたいと思っています。よろしくお願いします。

古川 よろしくお願いします。

佐々木 nanapiは4月にグローバルメディア「IGNITION(イグニション)」を立ち上げたわけですが、なぜ、海外を狙ったんですか? 市場として英語圏の市場が非常に大きいというのはわかるんですよ。英語圏のほうが進んでいるというのもわかる。2007年にNHKで、アメリカでは20代のブロガーがアドセンスだけで月15万円くらい稼いで食っていますよ、という番組が放送されたんです。「グーグル革命の衝撃」と冠して。当時の日本はGoogleの検索広告が始まったばかりで、月1万5000円くらいしか稼げていなかったのに(笑)。

古川 佐々木さんでもですか!

佐々木 そう。課題というのは、実は、あの頃からあまり変わっていないんですよね。アドネット枠を使ったインプレッション中心の広告(記事の横などに表示される一般的なネット広告)でやろうとすると、広告単価の安さのせいでビジネスが成立しない、もしくは原稿一本300円程度じゃないと成り立たないという楽しくない状況で。そういう状況を受けて広告モデルを変えようよ、という話はありましたが、思いきって英語圏に出る、という発想はすごいと思いました。

古川 うーん、GREEの田中さんが「戦後のソニーは英語もできず、グローバルとは何かなんてわからないまま世界進出に成功した。だから、進出さえすればいけるんじゃないか」ということをおっしゃっていて、なるほど、たしかに、と思ったんです。

佐々木 でも、GREEだってあまりうまくいってはいないでしょう?

古川 とはいえ、数百億円も売り上げは立っていると思いますよ。だから、「IGNITIONもいけるかな」と思ったんですが……これが、ものすごく難しいんです。

佐々木 なにがいちばん難しいですか?

古川 海外のユーザーにリーチする方法が全然ないんですよね。ブロガーにとにかくメールを送って、たまに取り上げられるくらいです。

佐々木 それは記事の内容が合わないのか、バイラルの手法に問題があるのか……。

古川 両方ですね。たとえば、僕たち日本人って、トルコ人のブログをあまり見ないじゃないですか。だから、何にニーズがあるかわからないし、マーケティングもできていない。それと同じなんですよね、きっと。

佐々木 ああ、アメリカ人にとって日本のコンテンツって、日本におけるトルコの記事くらいの位置づけってことか。それは難しい(笑)。

古川 うーん。どうすればいいんでしょうねえ。

次ページ 佐々木 日本国内のnanapi…
1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ