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4月以降4ヵ月連続ガソリン170円/ℓ超え
トリガー条項発動だ!今こそガソリン税の暫定税率撤廃へ!

ガソリン170円/ℓの内訳※石油石炭税は本則2.04円/ℓ。加算される温暖化対策税は段階施行で、現在0.5円/ℓの上乗せ。'16年4月には0.26円引き上げられるグラフ内のマージンは、企業や地域によって幅があるので平均的な概数を掲載した

民主党政権時代に「トリガー条項」が成立した。ガソリン価格が連続3カ月160円/ℓを上回ったら暫定税率ぶんの課税を停止する仕組み。東日本大震災復興財源確保のため無期限凍結されているが、今こそ発動されてもおかしくない。今回は、ガソリン暫定税率の不条理を追及し、撤廃の可能性を探ってみたい。

政権奪取を目指していた民主党の勢いが強かった'08年1月、ガソリン暫定税率撤廃を目的に「ガソリン値下げ隊」が結成された。民主党の川内博史衆議院議員(当時)が隊長となり、同党の中堅・若手議員58名が参加する一大議員グループで、各地で「ガソリン25円値下げ」キャンペーンを展開し、「民主党、いいじゃない」と、クルマ好きだけでなく多くの国民に期待された。

そして'09年の総選挙。ガソリンの暫定税率撤廃、さらに高速道路の無料化など消費者寄りのマニフェストを掲げた民主党が勝利して政権政党の座についた。これでカーライフもラクになると多くの国民が思っただろう。

しかし、いざ政権交代してみると財源確保が困難であることが判明する。高速道路無料化は、上限2000円案が浮上したものの、結局はなんの措置もとられなかった。いっぽうガソリン暫定税率は、トリガー条項に姿を変えたものの、なんとか日の目を見そうになったが、前述のように東日本大震災が発生、その復興財源確保を理由に「別に法律で定めるまで」凍結状態にある。

ここで、トリガー条項をおさらいしておこう。総務省が発表する小売物価統計調査で、ガソリンの平均価格が3カ月連続して160円を超えたら、1ℓあたり25・1円の暫定税率ぶんの課税を停止。逆に停止後3カ月連続で130円を下回ったら、課税停止が解除される。

グラフはIEA(国際エネルギー機関)「エネルギー価格と税」から、データを入手できる国(OECD=経済協力開発機構加盟34カ国中32カ国)を財務省でまとめたもの。日本の消費税は付加価値税に分類。税負担順に並べており、日本は小売価格、税負担額、税負担率すべて高いほうから28番目

この総務省の調査は、全国の都道府県庁所在市および人口15万人以上の市が対象となり、全国81市で実施されている。編集部では、さっそく総務省のデータを入手、平均ガソリン価格を算出してみた。

3月/158・5円
4月/164・6円
5月/166・2円
6月/167・6円

7月の調査結果はまだ公表されていないが、消費増税の4月以降、みごとに160円超えが続いている。凍結されていなければ、発動されていたはずだ。一部の専門家には、「160円超えの原因は消費税率のアップで、原油価格高騰ではないから、凍結されていなくても発動されない可能性がある」なんて意見もあるようだが、「バカ言ってんじゃないよ」だ。原油価格が上がろうが、消費税率が上がろうが160円超えは160円超え。消費者の負担が増えることに違いはない。

そこで、財務省に取材してみると「(トリガー条項は)検討中」(主税局税制第2課)との回答。ええっ、無期限凍結じゃないの。光明が見えたのもつかの間、以降はどんな質問にも「検討を始めたばかりで何も決まっていない」の一点張りである。

なにより、自民党政権ではトリガーのトの字も出てこない。発動の可能性は極めて低いだろう。

そもそも暫定税とは何か。ガソリンの価格には、輸入された原油価格、石油元売りとガソリンスタンドのマージンのほかに税金が課せられている。ガソリン税(正式には揮発油税)、石油製品と石炭にかかる石油石炭税、さらに石油石炭税に上乗せされる形で地球温暖化対策税(温暖化対策税もしくは環境税ともいう)、そして消費税だ。

初めのページに、ガソリン170円の時の内訳をグラフ化した。こうしてみると、価格の40%を超える税金の割合が大きいのがよくわかる。

さてガソリン税に話を戻そう。制度そのものは戦前から存在していて、現行制度は1949年に制定された揮発油税法で定められている。何度も税率引き上げが行われ、'74年に道路整備五カ年計画の財源として「暫定的」に税率を上乗せし本則税率の2倍を課税したのが暫定税率のはじまり。それが現在まで続いているから、「おいおい、約束が違うじゃないか」ということになる。

さらに、'54年から道路特定財源となった。税金の使途を道路の建設、補修に限定する受益者負担の目的税で、道路を走るのはクルマだから、そのクルマに使われるガソリンに道路財源の税金を課した。それなら、しかたないかなと思えるが、現在は一般財源化され、道路以外にも使えるから、「おいおい、話が違うじゃないか」。せめて、暫定税率は撤廃してほしいというのが、自動車関係者の願いである。

しかし、現在の自民党・安倍政権では、暫定税率廃止の気配すら見えない。暫定が40年も続いているのはおかしいと思わないのだろうか。トリガー条項を定めているのだから、せめてせめて連続3カ月ガソリン価格が160円を超えたいま、暫定税率の停止をしてほしい。本誌は強く主張する。

さて、これからは関係者による「暫定税率」への意見、メッセージを紹介しよう。まずは、民主党のガソリン値下げ隊長、川内博史前衆議院議員に聞いた。

ガソリン値下げ隊長からのメッセージ
総理大臣になったら必ず撤廃します!
民主党前衆議院議員 川内博史

川内博史(かわうち ひろし)
鹿児島県出身の政治家。早稲田大学卒業後、銀行、ホテル勤務を経て'96年に衆議院議員
初当選。'08年にはガソリン値下げ隊長。'09年から国土交通委員長。当時ベストカーがインタビューしており、写真はその時に撮影した

トリガー条項の条件に合致しているにもかかわらず、発動されないのはまことに残念です。

そもそも、民主党は暫定税率撤廃を国民の皆さんにお約束しました。鳩山政権でトリガー条項が協議された時、私は小沢一郎さんとともに断固反対しましたが、将来の撤廃に向けた段階的措置として、トリガー条項を設けてガソリン高騰に備えることにしたわけです。まさに庶民のための政策ですが、安倍政権では反故にされています。

我が国は理屈に合わない政策が多すぎます。税金もそうです。取りやすいところから取る。国民の皆さんが文句を言わないから、とりあえず取ってしまえ、という姿勢なのです。

ガソリンの暫定税率もそうです。皆さんがよく理解できない制度といえるのではないでしょうか。だからべらぼうに高い税率になっています。政府は、国民の皆さんがきちんと理解できるように周知しなければいけません。誰も知らないからといって、高い税金が許されるものではありません。

私は、ひとりになっても、落選してもガソリン値下げ隊の隊長です。現在は、返り咲きを目指して活動していますが、総理大臣を目指して頑張ります。私が総理大臣になりましたら、必ずガソリンの暫定税率は撤廃します。

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