干場の究極ワードローブ! キーワードは"エコラグ"
第3回 エルメスのネクタイ。

エルメスのネクタイ

数々の男性誌に携わりながら、編集者として、ファッションディレクターとして、さまざまなアイテムを見てきた編集長の干場義雅が、40代の男性のライフスタイルを豊かにする厳選したワードローブを紹介。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視した方が経済的だと言います。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」「移り変わる流行よりも普遍的で美しいものを」。干場が掲げる哲学を突き詰めていくと……、ブルース・リーが提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック・モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的かつ無駄のない、シンプルで美しいスタイルが浮かび上がってきます。足ることを知れば、自ずと本質的なワードローブが揃うのです。第2回はコチラ

どんなスーツにも似合う最強の1本は、エルメスの7cm幅のネイビータイ

「どんなネクタイが似合いますか?」「どんなネクタイがおすすめですか?」と、男性や女性に聞かれることが多いのですが……、僕が10年前から言い続けているのは、もしも1本買うなら、ネイビーブルーの無地のネクタイだということ。選び抜かれた上質なネイビーブルーの1本と、冠婚葬祭用の黒を1本、合計2本さえ持っていれば、正直他のネクタイを買う必要はなし。大袈裟ですが、この2本があれば大抵のシーンでは事足りるのです。なぜなら、ネイビーブルーのネクタイは、ネイビーやグレー、ブラウンなどあらゆるスーツの色に対応できる汎用性の高さと気品があるからです。

では「選び抜かれた上質なネイビーのネクタイって、何?」という話になるのですが……。どうせ買うなら良いものを! ということで、お勧めしたいのがエルメスのもの。ネイビーブルーとひとくちに言っても、赤みや青みがかったもの、安っぽく見えてしまうネイビーもありますし、高級に見えるものもあるのですが……。エルメスのネイビータイは、色の出方が本当に美しく、発色の良さも折り紙付きなのです。

理由は、素材に最高級のシルクを使用しているため。光沢がありすぎるとフォーマル色が強くなりがちなのですが、控えめに仕上げているのもポイントです。遠目では無地に見えますが、よく見るとさり気ないヘリンボーン織りというのも大人のシックさがあって良いのです。マットな質感で上品な表情を醸し出しているから、オールシーズン使えるのです。

エルメスのネクタイは、一般的なネクタイから比べれば非常に高額ではありますが、滑らかな質感ゆえ締めやすく、ノット部分のディンプル(へこみ)なんかも、とっても美しく決まるので、価格以上の価値を感じられるはず。僕自身も2本持っていて、何年もずっと使い続けている逸品です。

7cmという幅も、Vゾーンをシャープでモダンに見せてくれます。 かつてエルメスを代表するタイの大剣幅は9.1cmだったのですが、こちらは7cm。大剣幅が太すぎるとクラシコ色が強まりますし、逆に細すぎるとモードな匂いがしてビジネスシーンには不向き。モダンにスーツを着こなすなら、7cm幅を合わせるのが絶妙な匙加減なのです。

ナロータイで良い雰囲気のものって、なかなか見つからないのです。エレガントな生地感のものは意外と探すのが大変で、世の中にもあまり存在しないのが現状。安っぽい素材のナロータイをするとエレガントさは無くなってしまいますし……、かといって従来のものでは太すぎる。そんなときに、お勧めなのがこのネクタイなのです。1、2回めで紹介したネイビースーツに白シャツ、そして今回のネイビーのネクタイを合わせるコーディネートは王道で、どんなシーンでも対応は可能です。だからこそ、より自分を美しく見せられるよう細部にこだわって、究極のワードローブを完成させましょう。“エコラグ”なワードローブの究極の一本になること間違いないはずですから。

Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE

エコラグ-Hoshipedia
「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。

干場義雅
FORZA STYLE編集長

数々の男性誌に携わりながら、編集者として、ファッションディレクターとして活動。2010年に独立後は、新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどメディアの枠を超えて多方面で活躍中。