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ノーベル物理学賞の受賞者は「日本人3人」? 中村修二氏の米国籍を無視する新聞報道の是非を問う
ノーベル物理学賞受賞を伝える各紙朝刊

中村修二氏は「日本生まれのアメリカ市民」

アメリカ人1人と日本人2人がノーベル物理学賞を共同受賞---。10月7日に青色発光ダイオード(LED)を開発した功績で赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏がノーベル物理学賞を受賞すると、翌8日付米ニューヨーク・タイムズはこんな見出しを掲げた。

日本の新聞は違う。同日付全国紙朝刊の1面を見ると、読売新聞(西部本社版)には「ノーベル賞 日本の3氏」、朝日新聞(名古屋本社版)と毎日新聞(東京本社版)にはうり二つの「日本の3氏 ノーベル賞」という大見出しが躍っていた。日本経済新聞は主見出しに「日本」を入れていなかったものの、ワキ見出し(補助的な見出し)で「物理学賞 日本の3人」と伝えていた。

日本の新聞だけ読めば、日本人3人が共同受賞したと思うだろう。私もそう思った。それだけに、ニューヨーク・タイムズの見出しを最初に目にしたときには一瞬「これは誤報ではないか?」と疑ったほどだ。

実際は誤報ではなかった。同紙見出しが言及するアメリカ人とは、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCサンタバーバラ)教授の中村氏のこと。ノーベル賞を選考するするスウェーデン王立科学アカデミーのプレスリリースによれば、同氏は「日本生まれのアメリカ市民」。アメリカ市民であれば米国籍を取得済みであり、れっきとしたアメリカ人である。

ニューヨーク・タイムズの見出しを見て「アメリカの新聞だから中村氏をアメリカ人として紹介したいのだろう」と思う人もいるかもしれない。だが、イギリスの高級紙インディペンダントも見出しで「日本人科学者の赤崎勇と天野浩の両氏とアメリカ人科学者の中村修二氏がノーベル物理学賞を受賞」と伝えている。