チキンレースに突入した拉致再調査報告
『古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol105(2004年10月3日配信)より

北朝鮮拉致調査報告延期

古賀: 北朝鮮の拉致調査が一時期9月中旬と言われていたのが、北朝鮮側の事情で延期されるというような発表が政府からなされています。安倍政権はこの北朝鮮の拉致被害者だけじゃなくて日本人妻とか、昔、北朝鮮に憧れて渡った人たちもたくさんいるんですけども、いま、とにかく北朝鮮にいる日本人を大量に、いちばん最後は来年の7月に大量に連れて帰ってくるということを安倍さんの総裁選前、あるいはその選挙に向けて一つの切り札にしよう、という期待をもって北朝鮮の話を進めているというふうに見ていました。というか、今もそう見ているんですけれども。

もともとこの話というのは、どっちかといえば北朝鮮の側から非常に甘い話を囁かれて、「かなり帰ってきますよ」みたいなニュアンスで日本人側に伝えられて。日本側がそれに乗っていったという経緯があるんですけれども、北朝鮮も、もちろんいろいろ苦しい事情があるので、なんとか制裁を解除してもらったり、あるいは人道支援という名目でいろんなお金だとか物資をもらえないか、ということでかなり本気になっているんですけれども。

いっぽうで、だからそういう意味じゃ、北朝鮮というのはある意味、非常に追い込まれた立場にあって、それを日本側は足もとを見て、今ちょっと手を差し伸べてやれば、向こうは相当思い切ったカードを切ってくるだろうと、こういう読みなんですけれども、北朝鮮は事情があるんだけれども、実際には何が起きてるかというと、安倍政権としてはこれからあまり支持率を上げるカードはないんですね。

これから冬にかけて消費税の増税を決めなきゃいけない。それから冬から春にかけて、原発を再稼働させなくちゃいけない。そして、春の統一地方選が終わると集団的自衛権の関連法案を全部通さなきゃいけないということで、非常に不人気政策ばっかりやらなきゃいけない。それに対して対抗する支持率をアップさせる政策というのは、ほとんど出しちゃって、ほとんど株価対策的な年金の基金のここをもうちょっと株に振り向けましょう、とか、あるいは法人税減税やりますよと。でも、いまも言っちゃってますから、新たなカードがほとんどないわけですよね。そういう中で北朝鮮のカードっていうのはだんだんだんだん唯一のカードになってきちゃったと。

いままで日本は、北朝鮮の足元を見てうまくやってやろうと思っていたんだけれども、北朝鮮の側も、けっこうこれは安倍政権もきついぞと。俺たちのカードというのは価値がどんどん上がっている、というふうに読んでいて。

おそらく安倍さんは、私が思っていたのは、「9月中旬にも」と言っていたのは、福島知事選と沖縄知事選の前になんかいいニュースを出して、それでボーンと支持率を上げようということを考えたと思うんですけれども、そこら辺は北朝鮮に完全に読まれているなという感じがしますね。

まあ、焦らすことによって、日本側が「いやいや、どうなってるんですか、どうなってるんですか」と「なんとか出してくださいよ」とこう言ってくるのに対して、北朝鮮側は「いやぁ・・・・・・ところで日本側は何を出してくれるんですか」と。どこまで自分たちが出せば日本が何をくれるのかという、それを確認しに来てるんだと思うんですね。かなり大きな制裁解除の約束を取り付けなければ、なかなか出してこないよ、ということをたぶん言ってると思うんです。

北朝鮮もある程度は苦しいという立場はあるんだけども、安倍政権もけっこう苦しんだということで、ちょっとチキンゲームに入ったなと。チキンゲームっていうのは北朝鮮は得意中の得意なんですね。安倍さんが思い描いていた北朝鮮を切り札に、というのが本当にうまくいくのかどうか。その作戦の基本は変わってないとは思うんですが、一筋縄ではいかないというのが見えてきたということかな、というふうに思います。・・・・・・(以下略)

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