スティーブ・ジョブズは子どもに対してはローテクの親だった
『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より
故スティーブ・ジョブズ---〔PHOTO〕gettyimages

子どもたちがデジタルに触れる時間を制限していたジョブズ

アップルを経営していたころの故スティーブ・ジョブズは、ジャーナリストを呼び、最新の記事を褒めたり、彼らの記事について間違いを指摘したりすることで知られていた。

私にも何度かお呼びの声がかかった。しかし2010年の末にジョブズ氏が言ったことほど、私を驚かせたことはない。iPadの欠点についての記事に対して、こっぴどいお叱りがあったので、私は話題を変えようと質問した。――「お宅のお子さんたちは、iPadをさぞ気に入っているのでしょうね」。

ちょうど、アップルの最初のタブレットが店頭に出回りはじめたころだ。すると彼は「うちの子どもたちは、まだ使ったことがないんだよ。家では、子どもたちがテクノロジーを使う時間を制限しているからね」と言ったのだ。

これを聞いて私は唖然とし、驚きのあまり、おそらく一瞬沈黙してしまったと思う。私は、ジョブズの自宅は、壁には巨大なタッチスクリーン、食卓はiPadのタイル製、来客には枕の上に置くチョコレートのようにiPadを気前よく配るといった、ハイテクマニアの天国みたいな所だと想像していたからだ。

ジョブ氏は、そんなことはまったくない、それとは似ても似つかないと私に言った。

そしてその後、私はジョブズと同様のことを言う、テクノロジー会社の最高経営責任者やベンチャー投資家たちに何人も出会った。彼らは子どもたちがスクリーンに向かう時間を厳しく制限し、学校がある平日はすべてのデバイスの使用を禁じていた。週末にだけ、わずかの時間を与えるというケースも多く見られた。

私は、こうした親の教育方針に戸惑いを感じた。結局のところ、普通の親のアプローチはこれとは反対で、子どもたちは、昼夜を問わずタブレットやスマートフォン、そしてコンピューターの白熱光を浴び放題という状況のように思えたからだ。

しかし、テクノロジーのCEOたちは、一般的な人たちが知らないことを分かっているようだ。

『ワイヤード』誌の元編集長で、現在、無線操縦飛行機メーカー「3Dロボティックス」の最高経営責任者であるクリス・アンダーソンは、自宅にあるすべてのデバイスに対し制限時間を設け、親が管理するようにしている。

彼は6歳から17歳までの5人の子どもたちについてこう語った。「子どもたちは、私と妻のことを、ファシストで、テクノロジーについて過剰な心配をしていると非難する。そして、同じような規則がある友だちなんて、ひとりもいないと言う。でもこうするのは、私たちがテクノロジーの危険をこの目で見てきたし、私自身が経験しているからです。子どもたちには、そういうことが起こってほしくはないですからね」。

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