雑誌 企業・経営
私はおでんに白ワインを合わせることもあります。食事に合わせて、ワインの楽しみ方は広がる。日本のワイン消費量はさらに伸びるでしょう。---メルシャン 横山清

国内でワインのシェアトップを誇るメルシャン。昭和9年に味の素の創業一族が酒造メーカーとして起業し、昭和中期から後期にかけ、ワイナリーの経営を始めるなどワインの製造・販売事業を拡大。その後'06年にキリングループ傘下へ入っている。社長の横山清氏(54歳)は、プロパー社員から初めてのトップ就任を果たした人物だ。


よこやま・きよし'59年、神奈川県生まれ。同志社大学法学部卒業後、'83年に三楽オーシャン(現メルシャン)入社。人事部などを経て'92年から米国へ出向。スイスのビジネススクールを卒業後、国際部勤務を経て、'05年に人事部長就任。'07年にはCSR推進部長に就任し、'11年からは取締役執行役員。'13年3月より現職。※メルシャンのwebサイトはこちら

国産

100%日本産のブドウをつかった日本ワインが、海外でも高い評価を得ています。ワインの風味にもっとも大きな影響を及ぼすのはブドウの味。そしてブドウの味はヴィンヤード(ワイン用のブドウ畑)によって左右され、これはフランスやイタリアなど伝統国のまねをしてもいいものはできないのです。

たとえば弊社の日本ワインブランド『シャトー・メルシャン』が世界の様々な賞をいただいているのも、長年、日本の気候・風土に合ったブドウを自社で栽培するなどの研究の成果だと思います。

経営の役割

私が弊社を志望したきっかけは、単に「お酒が好きだったから」です(笑)。

入社後は長く人事を担当していました。事業は、企画、経営目標や課題がないと成り立ちませんが、それを実施するのは「人」。私はこの「事業」と「人」が企業を動かす両輪なのだと思っています。では人は何で動くかと言えば、「手応え」と「充実感」ではないでしょうか。

企業は永遠に存続させなくてはいけないものですから、環境の変化によって、事業や考え方は変えていかなければいけません。社員はこれに関わり、夢や目標を共有し、達成することで「手応え」と「充実感」を持つようになる。経営者の役割は、その環境をつくることだと考えています。また、キリングループ入りして、最も大きなシナジーを感じているのは、営業が増えたことです。メルシャンには約200人の営業がいましたが、いまはキリンマーケティングの約3000人も弊社商品を販売してくれています。

雪山にて 会社の同僚とスキーに行ったときの一枚。「バブルまっただ中、スキー場が非常に混んでいた時代の写真です」と当時を振り返る

グローバル

'92年に米国のナパにあるワイナリーへ出向しました。'88年、弊社はグローバル化を進める一環として同地のワイナリーを買収していたのです。その翌年には、米国サクラメントにある月桂冠さんの工場へ経理として出向しました。

これらの経験から学んだのは「グローバル化とは、海外にお金を持って行き、企業を買収することではない」ということです。たとえば日本と海外ではたいてい、仕事に対する考え方が違うから、日本の労務の考え方はそのまま持ち込めず、現地の方とのズレを埋めていく必要があります。お金を出すだけでなく、現地へ人が入って行き、現地の事業と人を育てる覚悟が必要なのです。

資料

'98年、日本への帰任前にスイスのビジネススクールでミドルマネジメント層向けの研修を受けました。様々な国の企業の実例を元に議論するのですが、毎週、資料を読むことが大変でした。

授業は、平日の午前と午後、土曜日の午前中、合計11回あります。これに使う資料はすべて英語で書いてあるんですよ(苦笑)。当時はまだバブルの頃の印象もあってか、授業では「これ、日本の企業だったらどう判断するの?」と聞かれることも多かったですね。