サッカー

二宮寿朗「大学サッカー組が輝く理由」

二宮 寿朗

19歳から“もうひと伸び”できる日本

 高校卒業後の数年間で、実戦を多く踏む、踏めないかで成長の度合いに差が出てくる。川崎フロンターレの指揮を執る風間八宏監督が筑波大学サッカー部で指揮を執っていたころ、「日本は19歳ぐらいの年代からも成長が見込めることがはっきりと分かった」と語っていたのが印象的だった。当時の筑波大は週3回の2部練習があり、試合も公式戦に加えてJクラブとの練習試合も少なくなく、実戦の数をかなりこなしていた。

 世界に目を移せば、19歳以上ともなれば育成は終わりという認識に近い。しかし若年層の育成に課題を残しているためか、日本はここから“もうひと伸び”できるという傾向がある。
 何故“もうひと伸び”できるのか。
 その疑問を、流通経済大学サッカー部の中野雄二監督にぶつけたことがある。流経大は関東大学リーグ1部に昇格した04年以降、07年には総理大臣杯を初制覇。関東リーグを3度制している。昨年も総理大臣杯で優勝。国内外にプロ選手を70人以上輩出している。

 就任当初は弱小だった流経大サッカー部を強豪校に育て上げた中野監督は言った。
「練習というのは、イメージどおりにプレーするためにやるものですよね。ただ、イメージどおりにならないのが試合。どうしたらイメージどおりにいくのか考えたり、仲間と話し合ったりすることで経験値を上げることができる。
 僕は高校生や社会人も教えてきて思うのは、大学生のころが一番人間として伸びるということ。なぜならモノの本質を、つまり、サッカーの本質というものを分からせることができるから。スキルの部分ではそこまで積み上げができる年代ではありませんが、言われたことに対してディスカッションができるし、考え方がしっかりしてくる。そこにアプローチしていくことが大事だと思っている」

 流経大サッカー部はボランティア活動に力を入れ、選手たちは年4回、献血にも協力しているという。人間形成に力を入れるプログラムも多い。
 サッカー部は日々のトレーニング、豊富な実戦経験を積む「身を鍛える場」であると同時に、「心を鍛える場」でもある。つまり人として成長させることで、プレーヤーとしての成長も促している。