エリート集団は攻めには強いが守りに弱い。この弱さが現在の朝日新聞社の危機をもたらしているのだと思う

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」 質疑応答より

【質問1】 (略)将来の仕事についてご質問させていただきます。現在32歳で商社に勤務しています。給料、仕事内容ともに満足しています。ただ、移り変わりの激しい業界のため、専門的な技術を身につけて、将来のために備えておこうと考えています。そこで、通訳の技術を磨くことを検討しています。

資格としては、英検1級を取得しており、TOEICは満点です。英語の実務としては、文書やメールのやり取り、電話や商談などを支障なくこなしています。ただ、帰国子女ではなく留学経験もないため、スラングや略語は苦手で、会話より読み書きの方が得意です。

32歳という年齢では、一流の通訳者を目指すには遅すぎるでしょうか?努力を惜しまず、日本でもトップクラスのレベルを目指したいと考えています。(不明)

――佐藤優さんの回答: 年齢は問題ないと思います。しかし、トップレベルの通訳となると、反射神経や日本語、英語の語感、さらに通訳の仕事がある直前の猛勉強でサブスタンスを理解する能力などの総合力になるので、この点については何ともいえません。また、逐語通訳と同時通訳では、通訳の技法が異なってきます。

【質問2】 収入に関しては、ある程度下がることを覚悟すべきでしょうか?現在の年収は、業績により変動しますが800万から1000万の間です。(同)

――佐藤優さんの回答: トップクラスの通訳ならば、1000万円を超えます。特に会議通訳(同時通訳)をこなせるようになれば、数千万円の収入があります。ただし、通常の商談や学術会議の通訳ですと、年収で500万円を稼ぐのもたいへんと思います。経済的なリスクを考えると、今の仕事を続けた方がよいように思います。通訳はフリーランスなので、収入の変動が今よりも大きくなります。

いずれにせよ、最終的にはあなたの価値観、人生観の問題になります。リスクがあってもチャレンジしてみたいと思うのならば、それも一つの選択肢と思います。

【質問】 『憂国のラスプーチン』などで、朝日新聞の読者を知性があるかのような表現で評価されています。(もちろん佐藤優先生を非難しているわけではありませんが)しかし、原発事故報道、従軍慰安婦報道、そして過去の、沖縄の珊瑚礁のいたずら書き等々、朝日新聞は国を貶める新聞とは感じませんか。ご意見をお聞かせください。(不明)

――佐藤優さんの回答: どの新聞社にも問題を起こす社員はいます。また、どの新聞も誤報を行ったことがあります。朝日新聞の記者に優秀な人が多いのは間違いありません。また、官僚、知識人に影響をもっとも強く与えているのが朝日新聞であるというのも事実です。問題は、このようなエリート集団は、攻めには強いが、守りに弱いということです。この弱さが現在の朝日新聞社の危機をもたらしているのだと思います。

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol045(2014年9月24日配信)より