メディア・マスコミ
朝日新聞の「吉田調書報道取り消し」を
市民派弁護士らが大批判

「吉田調書」を取り消した社長会見を報じる朝日新聞9月12日朝刊一面

平和と人権、報道、原発問題などにかかわっている、いわゆる市民派の弁護士が9月26日、「『吉田調書』報道に関して記事全体を取り消さなければならない誤報はなかったと思料します」などとして、同報道の検証を始めた朝日新聞社内に設置の「報道と人権委員会」が事実に基づいた検証を行うことなどを求めた申入書を朝日新聞社の木村伊量社長宛に提出した。

「報道の自由」が脅かされる

提出したのは中山武敏弁護士らで、全国の191人の弁護士が賛同、今後、賛同者はさらに増える見込みだという。

提出後の記者会見や会見後の囲み取材で中山弁護士は「今回の件で現場が委縮することで報道の自由が脅かされることを全国の弁護士は懸念している。『吉田調書』報道の関係者について朝日新聞の木村社長は厳正に処分すると言ったが、事実関係が正確に把握できていない状況で処分のことを言うのは、人権侵害にもあたる可能性がある」と、今回の朝日新聞の対応を批判した。

申入書では、「命令違反で撤退」したかどうかは解釈・評価の問題で、吉田所長が所員に福島第一近辺に退避して次の指示を待てと言ったのに、約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に撤退したとの記事は外形的事実において大枠で一致しており、記事全部を取り消すと全ての事実があたかもなかったものになると思料する、などと指摘されている。

従軍慰安婦検証報道後に高まった朝日新聞批判は、主に競合紙や敵対的メディア、右翼らが行ってきたわけが、今回の批判は、朝日新聞と考え方が近いいわゆるリベラル派からのものであり、朝日は「左右両面」から批判にさらされていることを意味する。

要は、朝日のコア読者に近い層からの批判であり、木村社長は重く受け止めるべきではないだろうかと筆者は感じる。

記者会見する、市民派弁護士ら関係者たち(筆者撮影)

市民派弁護士らが記者会見で言わんとするところは、9月11日の記者会見で朝日新聞の木村社長が、「吉田調書」の取材経緯など事実関係をまだ丹念に調べていない状況下で、記事を全面的に取り消し、関係者の処分を明言したことが、権力を監視し、知る権利に対応しようとしている現場の記者を委縮させ、報道機関としての使命を放棄することにつながる、ということである。

そして、それが民主主義の危機を招くということでもある。

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