賢者の知恵
2014年09月29日(月) 週刊現代

この「母の思い」を裏切ってはならない 横田早紀江さん慟哭手記「神様もう一度、娘(横田めぐみさん)に会わせて…」

週刊現代
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9月下旬にも、北朝鮮が「日本人特別調査委員会」の調査結果を発表することで、拉致被害者の生存情報に注目が集まっている。ある日、突然、娘を奪われた母親の言葉は、縋るような思いに満ちていた。

娘が煙のように消えた

拉致被害者の横田めぐみさんの母親、早紀江さん(78歳)が、このほど上梓した『愛は、あきらめない』が話題を呼んでいる。

帯には、「生きてこの地を踏ませてください。母の祈りから生まれた切々と心をうつ言葉」とある。

144ページの短いエッセイ集だが、そこには全編にわたって、早紀江さんの「祈りの言葉」が貫かれていて、読む者の心を打つ。

早紀江さんは、めぐみさんが忽然と消えた日のことを、同書の前書きで、次のように述べている。

〈主人の転勤で新潟に住み始め、1年3ヵ月めの1977年11月15日夕方、下校途中に家のすぐ近くで、娘めぐみは、煙のように消えてしまいました。何が起きているのかわからず、家族は絶望の淵に立たされていました。

家族の中心であった、あの元気で明るい女の子が消えてしまった。生きていく気持ちもなくなってしまうほど、悲しく恐ろしい出来事が私たち家族にのしかかってきました。

どこかで絶対に生きていると信じることで希望をつないでいても、黒雲は常に心のうちに湧き起こります。泣きわめき、街々をさまよい歩き、どうしてこれから生きてゆくのか……とむなしい日々が流れます〉

さらに本文では、この頃の捜査状況と、親としてのやりきれない心情を、詳しく綴っている。

〈大切な子どもが、部活のバドミントンの練習を終えて、お友達と3人で校門を出て、お腹をすかせ家に向かっていました。家の近くの交差点で友達2人と別れ、日本海が前方に見える暗くて寂しい道をまっすぐ進んで、曲がり角を曲がればすぐにうちがあるという所で、煙のように消えてしまったのです。警察犬がめぐみのその日の朝まで着ていたパジャマを嗅いで、匂いをたどりましたが、その場所でぴたっと動かない。「ここで何かがあったのでしょうね、車か何かで連れていかれたのだと思います」という警察のお話でしたので、私たちはこれを国内事件としか思っていませんでした。まさか北朝鮮にいるなどとは思いもしませんでした。

新潟県警始まって以来の大捜索が展開され、2000人、3000人で、浜辺から、山から、くまなく捜してくださいました。巡視船が出て双眼鏡で何か浮かんでいないか、ヘリコプターで浜辺に何か変わったものがないか捜し、ダイバーが海にもぐって捜し、ありとあらゆることをしてくださいました。

次ページ 私たち親も何もわからない状態で…
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