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二宮清純レポート オリックス投手・28歳 佐藤達也頼れる「非凡なる凡人」

2014年09月29日(月) 週刊現代

「行け」と言われたタイミングでマウンドへ立ち、がむしゃらに直球を投げ込む。佐藤に派手さはない。だが、真っ向から相手に立ち向かうその姿は、間違いなくチームに勢いをもたらしている。

勝敗を左右する仕事

セットアッパーをして「縁の下の力持ち」とは、言い得て妙だ。

出番のあるなしにかかわらず、ブルペンで肩をつくり、登板の機会を待つ。時に徒労に終わることもあるが、心身ともにリセットして、また次の登板に備える。結果に一喜一憂している暇はない。

今季、オリックスの躍進を支えているのが、12球団屈指の強力リリーフ陣である。岸田護、馬原孝浩、比嘉幹貴、佐藤達也の4人で勝負どころの7、8回を抑え、平野佳寿が締めくくる。主に、このパターンで福岡ソフトバンクに次ぐ白星を積み重ねてきた。

とりわけ昨季、42ホールドポイント(HP)で最優秀中継ぎ投手に輝いたセットアッパー・佐藤の活躍が光る。躍動感のあるピッチングはチームの勢いを象徴しているかのようでもある。

ちなみにホールドとは、クローザー以外のリリーフ投手が一定の条件を満たした際に与えられる記録で、彼らの仕事ぶりを評価する指標のひとつとなっている。

佐藤は今季もチーム最多の57試合に登板し、リーグ2位の39HPをあげている。防御率は1・30(記録は9月16日現在)。安定感は抜群だ。

この佐藤に監督の森脇浩司から慰労のメールが届いたのはオールスター期間中だ。〈前半戦は本当にお疲れ様。また後半から頑張ろう〉。さりげない文面ではあったが、激務の身には深く沁みた。

神妙な面持ちで佐藤は語った。

「自分の仕事が評価されているんだと思うと、やっぱりうれしかったですね」

オリックスOBで、長年、セットアッパーを務めた佐野慈紀が後輩の思いを、こう代弁する。

「セットアッパーは仕事ぶりが、そのまま数字に表れないことが多い。首脳陣に認められている、必要とされていると感じることが力になり、やりがいにもなる。おそらく佐藤もそういう気持ちだと思いますよ」

セットアッパーは試合終盤、勝敗に直結する場面でマウンドに上がる。大袈裟でなく、1球のミスが命取りとなる。

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