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デング熱パニック「遺伝子組み換え蚊」が空を飛ぶ 専門家が「日本でも死者が出る」と警告
〔PHOTO〕gettyimages

殺虫剤を撒いても、気づけばまた現れる。蚊に刺されないことが一番の予防法、などと言われても、確実に防ぐ方法は存在しない。人類の命をも奪う「最強の敵」に打ち勝つための研究が密かに進んでいる。

感染者は数千人規模に

デング熱拡大の勢いが止まらない。

最初の感染者が見つかってから1ヵ月近くが経過したが、患者はいまだに増え続けている。9月17日現在、18都道府県、126人にまで広がった。

代々木公園、新宿御苑、横浜市・海の公園などが閉鎖され、蚊の駆除作業が行われている。都内では虫よけスプレーが品薄となる薬局が続出。医療機関では、デング熱の感染を調べる検査キットも不足しているという。大相撲秋場所を控えた両国国技館では、付近で感染者が確認されていないにもかかわらず、9月12日の午前、蚊の駆除のための薬剤散布が実施された。

前例のない「デング熱パニック」だが、今後、感染者はさらに増え続けるという。

「デング熱の感染は、本格的に広まり出したら100人や1000人では収まりません。代々木公園周辺で感染した人が感染源となって、各地でウイルスが広がることになると、何千人、何万人という感染者が生まれるでしょう」

蚊の生態に詳しい琉球大学名誉教授の宮城一郎氏は、こう指摘する。

当初、感染源は代々木公園内とされていたが、9月9日、都内を訪れていない千葉県在住の69歳の男性に感染が確認された。この男性のウイルスを調べると、代々木公園で見つかったデングウイルスと遺伝型が一致した。

「これは、感染源が同じだということ。つまり、東京でデングウイルスに感染した方が千葉に行って蚊に刺され、その蚊が千葉で別の人を刺してウイルスを感染させたということでしょう」(国立国際医療研究センター国際感染症センター・忽那賢志医師)

すでに、東京で見つかったデングウイルスは、北は北海道から南は愛媛県まで、全国各地に広がっている。今後さらに、新たな感染者が見つかるのは間違いない。それどころか、数千人規模のパンデミックが起こるのも時間の問題だ。

東京慈恵会医科大学熱帯医学講座教授の嘉糠洋陸医師は、こう警告する。

「デングウイルスは、ネッタイシマカとヒトスジシマカの2種類の蚊によって媒介されますが、日本に生息するヒトスジシマカは、涼しくなる10月下旬まで活動するので、それまで流行は続くでしょう。蚊が媒介する感染症の恐ろしいところは、拡大のスピードが速い点です。1人の感染者を10匹の蚊が刺し、その感染蚊がそれぞれ10人の人を刺していけば、『倍々ゲーム』どころか、あっという間に100倍にも広がってしまう。おそらく、今シーズン、日本で1~2人は死者が出ると思います」

デング熱といっても、高熱が出るくらいだから、そう心配することはないだろうと油断していてはいけない。最終的には人間を死に至らしめることもある、恐怖の殺人ウイルスなのだ。

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