1日5分のランニングには長期的な効果がある
『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より

「穏やかな運動のメリット」に科学性はあまりない

運動と死亡率に関する新しい大規模な調査によれば、1日たった5分間のランニングが早期に死亡するリスクを大幅に低減するという。この結果は、たとえ短時間であっても、激しい運動は、これまで専門家が考えていたよりもはるかにメリットが大きい可能性があることを表している。

近年、運動科学や多くの運動を薦めている情報で大きく注目されてきたのは、キビキビと歩くウォーキングなどの穏やかな運動であった。たとえば、2008年の政府による正式なエクササイズのガイドラインでは、週のうちほぼ毎日、約30分ほどの穏やかな運動をするよう薦めている。そして、この半分の約15分の激しい運動でも同様のメリットがあるだろうとまるで取って付けたかのように指摘している。

しかしこれまでのところ、この数字を裏付ける科学性はあまり見当たらず、病気のリスクを低減し寿命を延ばすためには、どの程度の激しい運動が必要なのかということを慎重に追跡した実質的な調査はほとんどなかった。どの程度少量の激しい運動であれば同じ結果をもたらすのかという調査研究となると、これ以上に少ない。

ランナーと非ランナーでは寿命が3年違う

そこで月曜日(7月28日)に米国心臓病学会誌(The Journal of the American College of Cardiology)で発表されたこの新しい調査では、アイオワ州立大学、サウスカロライナ大学、ルイジアナ州バトンルージュにあるペニングトン生物医学研究センター、その他の機関の研究者たちが、ダラスにあるクーパー・クリニックとクーパー・インスティテュートの膨大なデータベースを調べることにした。ここの研究者たちは何十年間にもわたり、クリニックに健康診断に来た何万人もの男女の健康についての情報を収集してきた。彼ら成人は、医学的に広範囲にわたった健康状態を検査したあとで、運動習慣に関するアンケートに記入した。このアンケートには、日ごろマラソンをするかどうか、どのくらいの頻度でどのくらい速く走るか、といった項目も含まれている。

研究者たちは、このデータベースのなかから、調査がはじまる少なくとも15年前にこのクリニックに来院した18歳から100歳までの健康な男女、5万5137人の記録を抽出した。このグループのうち24%の人は、走る距離や速さはさまざまだが、ランナーと自称している。そこでこの成人たちの死亡記録を調べてみたところ、15年くらいの間に約3,500人が死亡しており、死因の多くは心臓病だった。

しかし、ランナーとランナーではない人とを比べてみると、ランナーのほうがはるかに病気の影響を受けにくく、何らかの理由で死亡するリスクは、非ランナーと比べて30%も低かった。肥満または喫煙(ランナーの多くは喫煙しないが)要因を調整したあとでも、ランナーが心臓病で死亡するリスクは、そうでない人と比べ45%低くなっている。さらに、肥満でかつ喫煙者のランナーでさえ、肥満か、もしくは喫煙習慣の有無にかかわらず、非ランナーと比べてみると、早期死亡の見込みが低いことが分かった。グループ全体として、ランナーは、マラソン経験のない成人と比較して寿命が約3年長くなっている。

驚くことに、これらのメリットは、走る程度にかかわらず、おおよそ同じなのだ。週に150分以上走った人、または、1マイル(1.6キロ)を6分以内という特に速いペースで走った人は、走らない人よりも長生きしていた。しかしこれらを、1マイル10分かそれ以下というゆっくりしたペースで1日5分か10分しか走らないといった、走る量が少ない人と比べてみると、寿命は有意に長くはなっていない。