経済の死角

「ツバルの現状を発信し、世界に気候変動問題のアラームを届けたい」---NPO法人ツバルオーバービュー代表理事・遠藤秀一氏に聞く

2014年10月08日(水) 佐藤慶一
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NPO法人ツバルオーバービュー代表理事・遠藤秀一氏

今年12月、ペルーでCOP20(気候変動枠組み条約参加国会議)が開催される。1997年の京都会議では「京都議定書」が採択されたこともあり、日本ではCOPといえば気候変動に関する会議だと認識する人が多い、歴史のある取り組みである。

しかし、会議を重ねても先進国の足並みがなかなか揃わず対策は遅れている、その影で被害を受ける国も出ている。その最たる例が南太平洋に浮かぶ島国「ツバル」だ。世界で2番目に人口が少ない国として知られる一方で、海抜の低さゆえに地球温暖化による海面上昇の影響が見られるようになっている。

今回、COP20にツバル国派遣団の一員として参加するNPO法人ツバルオーバービュー代表理事・遠藤秀一氏にツバルの現状や気候変動の解決に向けた話を聞いた。(聞き手:佐藤慶一)

---遠藤さんのこれまでのキャリアと団体設立の背景を聞かせてください。

福島県いわき市で生まれ、子供のころは海や山など豊かな自然のなかで暮らしていました。父親の仕事の関係で転勤族だったことから、小学校時代からは東京、高校時代は千葉、その後進学した。大阪芸術大学建築学科では建築家を目指しながら「環境を保護するための空間表現」を追求しました。

卒業後は大成建設設計部に入社しました。当時はエコロジーを過度に気にしなくてもよい時代だったので、「環境に良い建築」に理解を得ることが難しく、悶々としていた時期もありました。そのときにちょうどリオで「地球サミット」が開催され、地球温暖化のことやツバルやモルディブのような島国が消滅の危機にあるということを知ったのです。建設会社のスクラップアンドビルドは環境問題の要因にもなっており、30歳で会社を辞めました。

退社後は、その当時一般に開放されたばかりのインターネットを活用して環境保護のための表現活動を続けました。その中でツバルに割り当てられている「ドメインネーム(.tv)」を見つけたのです。これを運営・販売し、その利益を元手にツバルの環境保護や国際社会に向けた発信ができないか、という提案を1996年にツバル政府にFAXで送りました。その2年後の1998年に、詳しい話を聞かせてほしいというFAXの返信があり、初めてツバルに赴くこととなりました。

ドメインの運営主体は入札で決めることになったのですが、残念ながら札を落とすほどの経済力はありませんでした。しかし、実際にツバルに行き、南太平洋の美しい自然に触れ、その自然と調和しながら生きているツバルの人々の自給自足の暮らしを体験したことは、僕の人生を大きく変えるきっかけとなりました。彼らの自給自足の暮らしからは地球温暖化の要因となる二酸化酸素は排出されていません。しかし、他国が排出した温室効果ガスに依って、気候変動問題の矢面に立たされている。この大きな矛盾を世界に紹介する必要があると思い、ツバルを発信するウェブサイトを立ち上げました。

ウェブサイトの運営をはじめた頃からは、メディアが気候変動や地球温暖化に注目することも増え、テレビ局のツバル取材をコーディネートすることもありました。また、ツバルの写真集を出版して以降、講演会や写真展の依頼なども増え、企業からの支援や事業拡大を考えたときに組織のほうがいいと思い、2006年にNPO法人としたのです。

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