政治

雑誌 ドクターZ
「現実」を知る政府統計の正しい読み方
〔PHOTO〕gettyimages

GDPの4-6月期の二次速報が前期比年率▲7・1%と発表され、一次速報の前期比年率▲6・8%より大幅に下方修正されたと話題になっている。

消費税増税前に、無責任なエコノミストたちは「消費増税が日本経済へ与える影響は軽微である」と語り、多くのマスコミもその論調に乗った記事を掲載してきた。しかし、フタを開けて見れば、こんなにもGDPに悪影響が出ていたことが明らかになった形である。

しかし、エコノミストたちもマスコミも、この期に及んで、「想定内」と語っている。役所のいいなりになる「御用」エコノミスト。その言い分を多用して報道するマスコミ。彼らに騙されないために、今回は「政府統計」をどのように見るべきかを本誌の読者に伝授しよう。

まず世間の関心の高いGDP統計については、政府の「一次統計」を加工した「二次統計」だということを覚えておいたほうがいい。実はGDP統計が発表される1週間前くらいには各種の「一次統計」が出揃うので、「二次統計」であるGDP統計を当てるのはそれほど難しくないという点にも注意が必要だ。

前述したとおり、「消費増税の日本経済への影響は軽微」と主張していたエコノミストたちは、4-6月期のGDP統計で大きなマイナスが出た時に、しれっと「想定内」と言い放った。その発言に違和感を持った方も多いだろうが、これもGDP統計が「二次統計」であることを理解しているとカラクリがわかる。

実はエコノミストたちのGDP統計予想は、昨年くらいから、GDP統計が発表される1ヵ月前までは「大外れ」ばかりである。ところが、彼らは1週間前に「一次統計」を見たうえで予想をちゃっかり修正し、その修正後の予想から見れば「想定内」と言っているのである。

そもそも政府の「一次統計」は、原データをすべて入手することができるうえ、そのデータは過去にさかのぼることができる。現在はネット時代なので、役所のサイトからデータを発表後直ちにダウンロードもできる。その「宝の山」のようなデータをマスコミがきっちりと分析していれば変な報道にはならないはずである。

しかし、「政府統計」に関わる記事を担当するのは新米記者ばかりで、しかもルーチンワーク。さらに、政府統計が発表されてから記事にするまでの時間が少ないために、記者はデータをダウンロードして自前で分析することはせず、役所の発表資料をそのまま「コピペ」する傾向が強い。結果、官僚の言いたい内容がそのまま記事になる。

だから、政府資料に関する限り、マスコミ報道より、自分でデータをダウンロードして分析したほうがはるかによく現実を知れる。確かに統計の素人が行うのは難しいが、役所の統計担当者にも素人は多いし、マスコミの新米記者はもちろん素人。少しだけ勉強すれば、彼らを凌駕するのはそれほど難しいことではない。

慣れてくれば、役所やエコノミスト、マスコミの嘘も見抜けるようになる。

たとえば、7月の「消費低迷」は、政府統計では「天候不順」のためと説明されている。しかし、総務省の家計調査のデータを見れば、消費増税以降の4~7月の4ヵ月平均の消費動向は過去30年間で最低であると発見できる。4ヵ月連続の平均が過去最低ということは、「天候不順」では説明できない。つまり、「消費増税の影響」で消費が低迷していることがわかるのである。

『週刊現代』2014年10月4日号より

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