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習近平外交の中核「一帯一路構想」と、飛躍的発展の可能性を秘めた中印関係のゆくえ

2014年09月22日(月) 近藤 大介
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〔PHOTO〕gettyimages

「中国の夢」の実現に向けて

習近平主席の9日間にわたった近隣外交が、19日に終わった。中国は今回のタジキスタン、モルジブ、スリランカ、インドの4ヵ国歴訪を、「一帯一路構想を実現する旅」と位置づけていた。

「一帯一路構想」とは、中国から中央アジアを経てロシアへ向かう「シルクロード経済帯」と、南シナ海からインド洋へ向かう「21世紀海上シルクロード」を、中国が中心になって開発していくという構想だ。人民元の流通、政策の共通、道路の開通、貿易の盛通、民心の相通という「五通」を目指していて、この構想が、習近平近隣外交の中核をなしている。

これには、内政的かつ外交的意味が込められている。まず内政的意味とは、中国経済の高度成長が立ちゆかなくなっていることだ。特に地方経済は、ほとんど崩壊に向かっていると言っても過言ではない。そんな中で、国境を接している14ヵ国、及びその周辺国家と国境地域の貿易を発展させることは、地方を救うための、ほとんど唯一残された道なのである。

一方、外交的意味とは、中国を中心とした古代の東アジアの形を再構築するということだ。すなわち、中国という「宗主国」と周辺諸国の「朝貢国」からなる、現代版の「冊封体制」である。習近平主席は、そうやって「外堀」を安定させることで、中国の安定的発展を図ろうとしている。

特に重要なのは、習近平主席は、久方ぶりに現れた「西側を重視する指導者」だということである。古代から中国において圧倒的に重要なのは、自国の東側(日本・朝鮮半島)ではなく、西側(中央アジア・インド・ペルシャなど)だった。それが、1840年のアヘン戦争以降、東側(アメリカ・日本・朝鮮半島)が重要になった。だがいままた、西側に回帰しようとしている。その意味でも、習近平外交は、古代回帰型外交なのである。

こうした習近平主席の「中国の夢」を実現すべく、「シルクロード経済帯」と「21世紀海上シルクロード」という「一帯一路構想」を、習近平周辺外交の方針としたのである。この方針の今年の総仕上げとして、北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が、11月に控えている。

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