[自転車競技]
白戸太朗「応援していたら応援されていた ~ツール・ド・東北~」

気仙沼の町を駆け抜ける選手たち

 今年も三陸の人々は温かかった。走る選手達を応援し続ける人たち、エイドステーション(補給所)で選手に食べ物を配るボランティアスタッフ。皆が笑顔で、一所懸命に選手を歓迎しているのが伝わってくる。でもその向こうに見えるのは震災の傷跡……。いろいろな想いを巡らせながら、僕たちはペダルを踏み続けた。

 昨年に引き続き開催された「ツール・ド・東北」は東日本大震災の被災地沿岸で開催されるサイクリングイベントだ。当初は「復興もできていない街をサイクリング?」「イベントをやる前にやることがあるのでは」と非難されたが、Yahooと河北新報が勇気を持ってスタートさせたイベントだ。縁あって記念すべき1回目となった昨年も走らせてもらったが、あまりに美しい海と惨酷な爪痕とのギャップ、そして人の優しさに胸が詰まって、走りながら涙が溢れてきたのを覚えている。大会中に他の参加者と話をしたが、皆同じような感想で「復興を応援しに来たのに、逆に励まされた」というコメントが多かった。サイクリストの間では大変話題になった大会だった。

 そんなこともあり、大会は今年、募集定員もコースも拡大。昨年の倍以上にあたる3000人の参加者を最短60キロコースから新設の220キロコースを含む4つのコースに分けた。今年も参加させてもらった僕は気仙沼フォンドという220㎞コースを走った。このコースは石巻をスタートし、気仙沼で折り返してくるという長丁場。正直なところ、仕事で自転車に触れる立場の僕でも「油断していると完走できないかも」と、不安になる距離とタフなコースだ。しかし、実際に走ってみると、そんな心配は杞憂に。気仙沼の熱い応援と、惨酷なまでの景色に刺激を受け、スムーズに走り終えることができたのである。