代々木公園に行ったことがない、というだけでは安心できない。すでに、あなたの近くにもウイルスは拡散している。たった一つの場所から全国に飛び火したデング熱。蚊の脅威を侮ってはいけない。
「背骨の痛さが一番きつかった。関節技をかけられて背骨が圧迫され、折れるのではと思うほどの痛みが続きました。痛すぎて、ベッドの横にある電話の受話器を取るのに10分かかったほどです。その後、全身の皮膚が蜂に刺されたように赤く腫れあがってきました。咀嚼すると歯茎から流血するので、水分しか摂れず、くしゃみをすれば鼻血が出て、白目も真っ赤になった。輸血や点滴を続けて、2週間で12kgも痩せました。結局、全身のあざなどが完全に治るまでに2ヵ月半ほどかかりました」
2年前、スリランカでデング熱に罹った山崎雅弘さん(仮名・23歳)は、当時のことをこう振り返る。
国際ジャーナリストの蟹瀬誠一氏も、デング熱を経験した。
「以前、取材でカンボジアを訪れたときのことです。5日目あたりに急に食欲がなくなって、水さえも飲みたくなくなったんです。自分で意識しない間に出てしまうような激しい下痢にもなりました。帰国後、自宅で寝ていたら、ベッドがガタガタ揺れてきた。悪寒で自分の身体が震えていたからでした。都内の病院に行っても原因はわからず、別の病院でようやくデング熱だと判明しました。検査をすると、肝臓が通常の2倍ほどに腫れていた。手足に発疹が出て真っ赤になり、かゆくて眠れない日が続きました。もう二度と、あんな体験はしたくないですね」
69年ぶりに日本国内での感染が見つかったデング熱の勢いが止まらない。