教育・退職・介護という3つの課題を抱える「トリレンマ世代」---資産準備のために知っておくべきこと
『日本人の4割​が老後準備資金0円』第2章より

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「トリレンマ世代」の急増

著者の野尻哲史氏

2014年4月に行った勤労者3万人アンケートは、まだ十分な分析ができていないのですが、その中で子供の数についても聞いています。選択肢は「1人」「2人」「3人以上」「今はいないが将来持つ予定」、そして「今はいないが将来も持つ予定なし」の5つです。わが家は子供3人ですが、読者のみなさんはどれに該当しますか?

アンケートの結果は、ちょっと驚愕でした。「今はいないが将来も持つ予定なし」と回答した人が41.9%と最も多かったのです。まあ、数年して気持ちが変わってくれればいいのですが、このままでは本当に少子化は止められないかもしれません。合計特殊出生率が若干上昇したとはいえ、とても人口減少に歯 止めがかかる状況ではないのですから。

子供は将来も持つ予定なしと思わせている背景には、経済的な不安があるのでしょうか。今の生活でもたいへんなのに、子供を持ったら教育費の負担は重く、仕事にも制約が出てしまう、といったことがあるのかもしれません。

私自身を振り返ると、「なんとかなるさ」くらいにしか考えていませんでした。実際、子供が生まれたあと、勤めていた会社が自主廃業し、外資系に転職しましたが、そんな大きな身辺の変化があるとは当時は予想もしていませんでした。でも、20代で長女が生まれ、「子供のために」と頑張ってきたともいえますし、むしろ子供がいたからこそ頑張り続けることができたともいえます。

子供を持つなら早いほうがいい、とも思っています。自分が退職する前に子供の教育が終わる程度にはしておきたいところだからです。しかし、ある程度収入が見込めるようになってから子供を持ちたいと、遅くに子供を持つつもりなら、退職後にも教育費がかかるかもしれないことを念頭に置いてほしいところです。

新生児の25%は母親が35歳以上

40代のみなさんにとっては、そろそろ気になるのが子供の教育費ではないでしょうか。子供の教育費は上をみればきりがありませんから、いくらお金があっても足りないだろうと思います。それで最近は、「子供を作らない」という人たちも多くいるようですし、またある程度生活が安定してから子供を持つという家庭も多くなっているようです。

日本人の4割​が老後準備資金0円』 (講談社、税込み 907円)

みなさんのまわりで「いやー、この子が二十歳の時に俺、もう定年だよ!」とか「この子が二十歳の時に主人は60歳なの」といった話を聞いたことはありませんか? 自分が定年を迎える時になってもまだ子供の教育費がかかると自覚していることで、こういった言葉が出てくるのだろうと思います。生活の安定を待ってから子供を持とうとすると、ある程度の年齢になってからになるでしょうから、40歳前後での出産も意外に多いのが現状なのです。

急速に進む少子高齢化の背景として、晩婚化による出産年齢の上昇、晩産化がよく指摘されています。しかし、実際のデータを平均値でみると、晩産化をそれほど強く示すデータとはなっていません。たとえば、母親の平均出産年齢(第1子、第2子関係なく)は1985年の26.7歳から2012年には30.3歳と、過去27年で3歳程度上昇しているにすぎません。

しかし、新生児のうち母親が35歳以上だった比率をみると、1985年には7.1%だったのが、2012年には25.9%へと大幅に上昇しているのです。これは、平均ではみつけにくい、ばらつきの問題なのです。