女ゴコロが丸わかり!椰月美智子が描いたシビレル恋物語。切なくて、笑える――『恋愛小説』が文庫化
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あなたにとっての「ベスト恋愛小説」はなんだろうか。
田辺聖子さんの『言い寄る』三部作?
唯川恵さんの『肩ごしの恋人』? 山本文緒さんの『恋愛中毒』?
江國香織さんの『冷静と情熱のあいだ』? 川上弘美さんの『センセイの鞄』?

いいえ私は山田詠美さんの『ベッドタイムアイズ』だとか、マルグリット・デュラスの『愛人 ラ マン』という人もいれば、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』のあのハードボイルドな恋に痺れる人もいるだろう。

有川浩さんの「図書館戦争シリーズ」がベスト恋愛小説という人も、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』こそ最高の恋愛小説だ! という人も、舞城王太郎さんの『好き好き大好き超愛してる。』の恋がベストワンという人も、渡部淳一さんの『失楽園』やウラジミール・ナボコフの世界こそが本当の恋だという人も――

そう、人の数だけ、その人が体験した、感じたかずだけ人生に「恋愛」はある。
だからこそ、「恋愛小説は人生小説」ともいえるのだ。

そんな中で、まっすぐに「恋愛小説」と題した恋愛小説、それが、椰月美智子さんの『恋愛小説』だ。『しずかな日々』『るり姉』『その青の、その先の、』など、子どもの心、大人になりかけの子どもたちの心、そして子どものまわりにいる大人の心の機微を描き続けてきた椰月さん「だからこそ」描けた、「一生に一度の恋」。
そして飾らないリアルな恋愛。女ゴコロを知りたいあなたに、是非!

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リアルな女ゴコロが描かれた、最高に甘くて超絶に辛口の恋愛小説

魂が揺さぶられ、頭の芯まで痺れる読書体験

梅原潤一(有隣堂ヨドバシAKIBA店 書店員)

<相手の事が好き過ぎてどうにかなっちゃいそうだったあの日々――あれこそ、自分史上最高の恋愛だった!・・・・・・そんな、運命的な熱い恋の始まりから終わりまでを何の衒いもなく描き出した、まさに「恋愛小説」としか言いようのない恋愛小説。かつて恋に燃えた、今まさに燃えている、これから燃える予定の全ての男女必読の一冊!>・・・・・・。

私が販促用に書き上げたPOPの文面
梅原さんといえば「POPの帝王」と呼ばれるほどのPOPの名手。POPをつくるのは自身が読んで本当に気に入った作品のみ。その説得力は、物語への愛と、絶大なる読書量に裏付けされている。
この度の文庫刊行のため、新たに作ったPOP
“甘くてシアワセ~な恋愛小説”ではない! と主張する大辛口POP。AKIBAに来るお兄さん&おじさんにも是非読んで欲しい!! という帝王の情熱がほとばしる。

2010年11月、椰月美智子さんの『恋愛小説』のハードカバー発売時に私が販促用に書き上げたPOPの文面。今回、この文章を書くために『恋愛小説』を読み直し、改めて、このPOPの文面を眺める。成程、嘘は書いていない。ある愛の始まりから終わりまでを描いた切ない恋愛小説(一般的な意味合いでの恋愛小説の意、椰月さんの小説タイトルは括弧付きで示します)に付けるPOPとしては、性別、年齢問わず、あらゆる客層に手にとって貰おうとしている努力が随所にほどこされていて悪くない。しかし、この小説が内包する一種異様な迫力、狂騒的とさえ言える圧倒的な熱量までは到底表現しきれていないなあ、と痛感せざるを得ない。