賢者の知恵
2014年09月24日(水) 屋比久 勲

『吹奏楽の神様』屋比久勲氏が47年間子どもたちに
実践してきた怒らない教え方(3)

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6つの学校で、全国大会30回出場、全国金賞14回獲得し、「吹奏楽の神様」とも称される屋比久勲氏。
屋比久氏が実践してきた、怒ることなく子どもたちの力を伸ばす教え方を紹介する。


 ⇒その(1)はこちらをご覧ください
 ⇒その(2)はこちらをご覧ください

レギュラーは実力で決める

コンクールにおける部内の競争は、メンバーが増えた真和志中の3年目から始まりました。このときは7~8名ぐらい余ってしまい、1年生が出られませんでした。

その後、部員が100名くらいになったのですが、そうすると3年生でも出られない。高校になると、中学校でやっている子も来るため、実力に差が出るのでテストをして決めます。それは生徒にも言っています。

テストでは、3年生でもサボっている生徒よりも、まじめに練習している1年生の方が通ることもあります。サボると下手、まじめと上手はだいたい比例するけど、まじめだけど下手な子もいる。そういう子は3年生でも落ちるし、しょうがないですね。テストだから。

コンクールに出るメンバーを決めるときは、パートリーダーと僕とのオーデイション形式で、僕らから見えないところで演奏してもらい、音だけで「何番と何番が合格」と決めています。

そうしないと、見たらほだされるからダメです。やはり3年生を出したくなる。そしたら下級生が、「なんであの3年生下手なのにコンクールに出られるの?」となる。だから音だけで決めます。

それと、よく休む子は1番でも落とす。あとは同点だったら先輩です。少々の誤差だったら先輩を優先します。それはもう先に生徒に言ってあります。

誰が見ても、よく休む子はわかります。100名いたら必ず4~5名ぐらいいるのですが、そういう子は落とさざるをえない。部活動はあくまでも教育です。まじめにやっている人が損をしないようにしないといけない。

人間はもう死ぬまでずっと競争です。ただ、相手を蹴落とすのではなく、相手に追いつこうと一生懸命練習するのが良い競争。悪い競争はやらない方がよい。

だけどもう、自分よりあの子が上手いというのは、テストをやる前に生徒もわかっています。音を聞いたらわかる。自分はレギュラーになれないとわかっているけど、一応テストを受けます。

なかには、もう負けとわかったら「僕は、テストは受けません」という生徒もいます。でも、そういう子でも部活は辞めない。音楽が好きだからいるんですから。

コンクールは2~3回しかないし、200名ぐらい大人数のバンドでは3年生でも半分ぐらいしか出られない。3年生が2年生に負けて落ちたら悔しいから、マーチングのあるバンドだったら「コンクールはあきらめてマーチングに出ます」という生徒もいます。でも、それでいい。コンクールだけがすべてじゃない。

コンクールに挑戦しないのは意気地なし、だらしない、ということもありません。それはもうその子の考え方で、力があっても「自分は欠席が多かったから自分は出ません」と辞退する子もいます。

もちろん、本当にコンクールに出たかったけれども漏れる子もいます。そういう子は仕方ないですよ。「なんでオレの方が上手なのに落ちたの?」という子はいません。

そもそも普段の練習から、「今度のトランペットはあの子とあの子がなるな」とみんなわかっています。なぜなら普段から一人ずつ吹かせているから。自分のパートだけでなく、他のパートも全部わかっています。テストはほとんど確認の意味で、やらないとなんで先生はあの子をと言う人がいるから一応テストはやります。

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