学校・教育
『吹奏楽の神様』屋比久勲氏が47年間子どもたちに
実践してきた怒らない教え方(2)

6つの学校で、全国大会30回出場、全国金賞14回獲得し、「吹奏楽の神様」とも称される屋比久勲氏。
屋比久氏が実践してきた、怒ることなく子どもたちの力を伸ばす教え方を紹介する。


 ⇒その(1)はこちらからご覧ください

「叱られて100点より、叱られない60点がよい」

みんなをやる気にさせるには、何かの時に褒めることです。
例えば、スリッパをわざと僕が右左をちょっと離して脱いでいたら、パッとスリッパを左右きちんと並べる子がいました。

それをみんなの前で、「今日、先生のスリッパをパッとすぐに直した子がいて、みんながそうだといいねぇ。でも、何名かはやらない人もいるんじゃないの? みんなができるともう最高の部だよね」と褒めます。
こういう話をしたら、みんな「ああ、やろうかな」という気になる。

他の人が見ているときはルールがあるのでやる子は多いかもしれませんが、誰もいなくてもやるようにと生徒には教えています。よい意味で身体に染みつかせます。
でも新しく入ってきた1年生は、当然いきなりはできません。だけどやはり先輩がやるのを見てできるようになる。

もちろん1年生が入ってくる前に、先輩たちに「あなたたちがやるのを見て1年生は育つから、きちんと親切にして喜ぶようなことは進んでやらないとね」と教えています。

先輩がきちんと見せてあげれば、1年生もついてくる。すると、1年生が入ってくる度にいちいち説明しなくてもよい。そのサイクルをつくるのが指導者の役目です。

僕が指導するバンドでは、みんな褒めてあげるから嫉妬はありません。
ただし、褒められる回数に差はつけてはいけない。ちょっとでも生徒が良いことをしたら褒める。その上で、同じ人を何度も褒めない。

お客さんが来た時に荷物を持ってあげたり、あるいは靴をそろえてあげたりなど、良いことだったらすぐにみんなの前で言って拍手し褒める。

もちろん演奏に関係ないことでも褒めます。こういうことがきちんとできたら、演奏もちゃんとできます。後は、どちらを先にするかが問題なだけです。

僕の中でこれは信念にしていますが、勉強でもなんでも最後は本人がやろうと思わないとダメです。だからやる気にさせる指導をする必要がある。

そのためには、いろいろな面から遠回しに言ってあげたり、良い生徒がいたら、褒めたうえで、よいところを具体的に説明しないといけません。

過去には、授業中にお弁当を食べたり、授業を全く聞いていなかったりする問題児もいました。

でもそういう子でも、部に来たらきちんと練習をします。本当に普通の子です。
なぜ教室ではやんちゃな子が部に来たらしっかりやるのかというと、先輩たちがしっかりしているからです。別に先輩が厳しいわけではないけど、どんな生徒でもみんな先輩は先輩で従っています。

そういうしっかりとしたルールというか、考え方、意識をみんな持っている。

だから、僕はいつも生徒に「叱られて100点より、叱られない60点がよい」と言います。

叱られたり強制されたりすれば誰でもやります。でも叱られて100点よりも自分で考えて60点の方が、僕は価値があると思います。

普通の子どもたちをできる子にする 怒らない教え方』より

屋比久 勲(やびく・いさお)
九州情報大学教授。
1938年生まれ。沖縄県出身。琉球大学教育学部卒業。沖縄県垣花小・中学校で教諭をしているときに吹奏楽部を創設し、初めて顧問になる。その後、赴任した真和志・石田・小禄・首里の各中学校の「普通の中学生」をそれぞれ全国大会出場に導く。
また、真和志中学校を沖縄県として初めて全国大会金賞に導き、以降多くの学校を全国金賞に導く。
その実績が高く評価され、90年に福岡工業大学附属城東高等学校へ迎えられ、同校を全国大会金賞に導く。2007に鹿児島情報高等学校へ。14年に同校を退職し、九州情報大学の教授に就任。
全国大会出場回数は総計30回、うち金賞を14回受賞。通算出場回数や金賞回数もさることながら、着任した多くの学校を全国大会に導いたことなどから、「吹奏楽の神様」と称される。

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