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医者もなかなか分からない心筋梗塞---年間2万人が訪れるERを率いる医師が教える 医師でも間違える病気・ケガ・薬の新常識(1)

林 寛之

迷ったら心臓の栄養血管である冠動脈が詰まっているかどうか(詰まっていたら心筋梗塞)を調べる検査である心臓カテーテル検査をすればいいかというと、これも侵襲的な検査なので合併症がゼロというわけにはいきません。それなりのリスクを覚悟して受けないといけない検査です。危険さと有益さを天秤にかけないといけません。

最初に見る医者ほど診断が難しいのが心筋梗塞の診断としては当たり前なのです。「最初に受診した医者が見逃した」というのは簡単ですが、実は後で診る医者の方が有利なのは医者の世界では当たり前で、これを「後医は名医」と皮肉って言います。 

いわゆる後出しじゃんけん的要素があるので、前医を批判する医者は信頼できないのです。臨床の不確かさや難しさを知らない医者程、自分の方が賢いと見せつけたがるのです。
医者も単純に時間をかけさえすればいいのではなく、あくまでも患者さんのリスクを評価してどうしていくか決めていきます。

喫煙、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病、家族歴、狭心症や心筋梗塞の既往歴など、特に喫煙はリスクが高いため、たばこを吸う人はいざ胸痛が出た場合は、医者はそうそう帰宅させないのです。やっぱり喫煙はやめた方が200%いいのです。

年間2万人が訪れるER(救急)医が教える 医者でも間違える病気・ケガ・薬の新常識』より

林 寛之(はやし・ひろゆき)
福井大学医学部附属病院総合診療部教授。
1986年自治医科大学卒業。トロント総合病院救急部での臨床研修、僻地医療を経て、福井県立病院救命救急センター勤務後、2011年4月より現職。
年間2万人が訪れる救急医療チームの責任者として、福井県のたらい回しゼロに大きく貢献する。「家庭を大事にできないと、患者さんを大事にできない」がモットーで、過去に3ヶ月の育児休暇を取った経験がある。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』『総合診療医ドクターG』(いずれも、NHK)など、メディア出演多数。また、救急救命のスペシャリスト・研修医の指導医として、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地の病院や医療施設で医師や研修医向けの講演や研修会を多数行っている。
著書に、医学雑誌の大人気連載を書籍化した「Step Beyond Resident」シリーズ(羊土社)、多くの医師がお世話になっている『研修医当直御法度』(共著/三輪書店)など、医師向けのベストセラーを多数出版しているが、一般向けの書籍は本書が初めてとなる。

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年間2万人が訪れる福井大学病院の救急医療チームで活躍しており、さまざまな緊急患者や重病患者を診ている著者だからこそわかる「病気・ケガ・薬の新常識」。巻末に医者や病院の新常識も収録。

・「心筋梗塞=胸が痛い」とは限らない
・「ボケた!」と思っても5割は別の病気
・痛み止めは何でも効くわけではない
・信用できる医者 信用できない医者の見分け方
・「専門医を呼べ!」は必ずしも正しくない