メディア・マスコミ
朝日新聞社長会見を、リスク管理のプロが一刀両断!  「メディア業界の『雪印事件』のようでした」

「朝日新聞の木村伊量社長が9月11日に行った記者会見は、外部から見て、経営として、危機を収束させる能力がかなり欠落しているように感じました。社長を補佐すべきコンプライアンスやリスク管理を担当する部署も十分機能しているとは思えませんでした」

こう語るのは、企業のリスク管理やメディアトレーニングなどの領域を専門とするコンサルティング会社「アーサメジャープロ」社長の熊澤啓三氏である。氏は、日産自動車で営業企画部や広報部、海外営業部門などに在籍、日産を退職後、米国系大手PR会社の日本法人2社で役員を務め、4年前に独立創業した。

多くの企業のリスク管理対応に助言を送っている熊澤氏に、木村社長の謝罪会見の問題点について聞いた。

第三者への丸投げは大間違い

――朝日新聞の木村社長の記者会見の在り方など、同社の危機管理対応について、専門家としてどのように見ていますか。

「当日はインターネットで記者会見を見ましたし、新聞や週刊誌、テレビで報じられた記者会見の評価も見ました。そこで感じたことを述べますが、その前に断っておきたいことがあります。朝日新聞社は非上場とはいえ、株式会社であり、新聞という『製品』を作っている企業ですので、一般的にメーカーが製品で不具合を起こした時にどのような対応を取るべきかという視点と、言論の自由を標榜し、国民の要望に代行する形で知る権利に対応していかなければならない報道機関としての特殊性を加味しながらの視点が必要になってくると思います」

――新聞という「製品」を作っている企業としての対応はどうですか。

「これは構造的にメディア業界の『雪印事件』だと映ってしまいました。雪印集団食中毒事件では、事の重大さについて経営トップの認識が甘く、把握できていないことや隠ぺい事実に対し、外部からの追及のたびに対応が後手に回って、結局は会社が潰れてしまいました。

朝日新聞は現在、存亡の危機にあると思っています。マスメディアにとっての『報道信頼性の毀損』とはそういう意味だと思います。すべての世論が正しいとは言いませんが、多くの世論は、朝日新聞にジャーナリズムを担う資格があるのかと思い始めています。

これは自動車会社に例えるならば、「おたくの造った車は、品質が悪く、トラブルが多いので買いたくない」と言われているのも同然です。財務体質が強く、不動産も多く持っているので、朝日新聞が潰れることはないと考えているのだとすれば、驕り以外の何物でもありません」

「社長会見の内容も、消費者(読者)を軽視していると感じました。自浄能力がないようにも見えます。その大きな理由は、会見を見ていると、木村社長は自社内で何が起こっているのかを完全に把握していないまま記者会見に臨んでいると見られるからです。

もし誤報に至ったプロセスと原因を内々では把握していて時間稼ぎで『現時点ではわからない』と対応したのなら、それは事実の隠蔽です。朝日新聞の読者を始めとする世間は、一連の問題が、記者ら関係者の個人的資質から生じたものなのか、組織風土など企業マネジメントによるものなのか、が知りたいところですが、木村社長はその点について説明しませんでした。しないばかりか、第三者で構成する委員会に検証を委ねると言っていましたが、それへの丸投げは大間違いです。

まず、自社で起こったトラブルは何が原因なのかを自力で調査し、防止策も含めた対応を考え、その調査手法や対策に問題があるか否かの判断を第三者に任せるべきです。これを一般的に自浄作用と言うのではないでしょうか。第三者に原因まで丸投げ的に調べてもらうということは、これは経営者としての仕事を放棄しています。木村社長は読者や国民に見える形できちんと責任を取らないと、朝日新聞に対する批判はさらに高まる可能性があります」

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