アベノミクスの限界と安倍政権支持率
『古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol103 日本再生のためにより
〔PHOTO〕gettyimages

公共事業はもう減らした方がよい

アベノミクスの限界については、これまでもことあるごとに取り上げてきたが、ようやく、マスコミも本気で注目し始めた。しかし、まだまだその認識は甘い。

まず、公共事業はこれ以上増やしても意味はないし、むしろ、民間の投資を抑制することにつながるので、公共事業は減らした方が良いくらいだ。にもかかわらず、来年の消費増税対策と称して、今年の補正予算や来年度予算で、さらに公共事業を増やそうという動きがあるし、それを期待する一部マスコミの論調さえある。

アフリカの記事の中でも述べるが、日本が公共事業を地方にバラマキ続けたことが、実は、農村を疲弊させたという事実はあまり知られていない。

公共事業は、資材の多くを域外から輸入することになるので、金額が多くても、実際に地域に残るお金は人件費分くらいしかない。地方再生の効果は意外と小さいのである。その割りに、無駄に作った道路や橋やハコモノの維持後進負担は大きく自治体財政にのしかかる。

公共事業の生み出す雇用は短期的だ。プロジェクトが終われば雇用も失われる。とても一生を託す仕事には見えない。若者はもっと魅力のある職場を求めて都会に流出する。高齢化は進み、やがては消滅の危機に向かうのである。

地方を再生するには、農林水産業の再生と観光の振興、自然エネルギーの活用が3本柱になるはずだ。自然エネルギーを振興すれば、それで、雇用が生まれるし、域外に流出していた莫大な化石燃料費を支払わなくてよくなるので、地域経済には大きな恩恵になる。

以前から何回か紹介した、北海道の下川町では、年間12億円超のエネルギー関連支出を全てバイオマスの熱電併給で賄う計画が進んでいる。域内GDPの6%にもあたる大きな効果がある。そのためのプロジェクトに集中投資したいが、国から出る補助金は、相変わらず道路などの公共事業中心だ。同じお金なら、地域の自立につながるプロジェクトに集中投資したらどうかと思うのだが、「地方創生」はそんな大きな目標を持っているわけではないようだ。

さらなる円安は地方を直撃

いまだに円安信仰がはびこっているようだ。106円台!などとはしゃぐ人達がいる一方で、これ以上円安が進めば、原燃料などの価格高騰でぎりぎりの経営をしている多くの中小企業にとどめを刺すことにもなりそうだ。そして、地方の生活者への打撃も深刻だ。

普通の感覚では、東京の方が全国平均よりも物価上昇率が高いという気がする。しかし、最近は、東京よりも全国の上昇率の方が0.5%以上も高い。

その原因は、ガソリンと灯油の購入額だ。この二つが消費支出に占める割合を見ると、全国平均が東京の3倍もある。全国平均は、地方だけでなく東京や大阪などの大都市も入れた数字だから、都市と地方で比べると4倍くらいの負担の違いがあるかもしれない。円安によって、ガソリンや灯油の価格は年率10%程度上がっているが、地方では、その影響が全国平均の3倍から4倍になるわけだ。

地方の賃金上昇は都市部より小さい上にガソリン・灯油の値上げがさらに追い打ちをかけることになる。まさに踏んだりけったりの状況だ。これから冬に入れば灯油の使用量が増える、苦しさはますます高まるだろう。

それでも安倍政権は円安にこだわっている。第三の矢が不発なので、円安で株高を演出するしか手がないというのが実情なのだろう。

11日にも、黒田日銀総裁と安倍総裁が会談し、黒田総裁が、必要ならどんどん追加緩和するという趣旨のことを言ったと報道され、円は107円台まで下がった。

昨年の6月に、成長戦略を安倍総理自ら発表したが、あまりの中身のなさに失望した投資家はいっせいに日本株を売って、500円以上日経平均が暴落するという大失態を演じた。

そのときも慌てて黒田総裁と安倍総理の会談が行われ、円安誘導につなげようとした。苦し紛れの日銀による円安誘導。今回も全く同じだ。地方はその犠牲になる。これで地方創生とはよく言ったものだ。・・・(以下略)

・・・・・・この続きは『古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン』vol103(2014年9月12日配信)に収録しています