ITトレンド・セレクト

実用化に近づくスパイキング・ニューラルネット: 脳波まで再現する究極のAI(人工知能)

2014年09月18日(木) 小林 雅一
upperline
〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

21世紀に入って著しい進展を見せるAI(人工知能)の開発で、最近、新たな潮流が生まれている。それは「スパイキング・ニューラルネット(Spiking Neural Network)」だ。

スパイキング・ニューラルネットは、私たち生物の脳の神経回路網(生物的ニューラルネット)を工学的に再現した(人工的)ニューラルネットの次世代モデルだ。従来型ニューラルネットの中で今、最も性能が高く、グーグルやフェイスブックを始めとした多くのIT企業が導入しているのは、「ディープ・ニューラルネット」あるいは「ディープラーニング」などと呼ばれる多層ニューラルネットだが、スパイキング・ニューラルネットはさらにその先を行くものだ。

ニューロンの活動電位を人工的に再現

スパイキング・ニューラルネットは従来のニューラルネットと具体的にどこが違うのか?それは私たちの脳を構成する神経細胞が発する活動電位(スパイク)までも人工的に再現して、これを時間的な波形(パルス)としてニューラルネット上で再現したことだ。脳の内部で、無数の神経細胞(ニューロン)やその接合部(シナプス)が発火(活動)するときに出す活動電位は、医学的には、いわゆる「脳波」として観測される。従って、(非常に荒っぽい言い方をすると)スパイキング・ニューラルネットとは、人間の脳波までも再現しようとする究極のAIだ。

とは言っても、実用化はまだ何年も先の話だろう---そう思われる方も多かろうが、実はすでに試作機レベルにまで達しており、数年以内には実用化される見通しだ。たとえば先月、米IBMが開発に成功したと発表した「TrueNorth」と呼ばれる「ニューロモーフィック・チップ(神経形態学的プロセッサ)」は、スパイキング・ニューラルネットを実装した最初の製品だ。

次ページ 従来のニューラルネットはコンピ…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事