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2014年09月19日(金)

『地球はどうしてできたのか』
マントル対流と超大陸の謎
吉田晶樹=著

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マントル対流と大陸移動からひもとく
最新地球科学入門

 大陸はなぜ動くのか? 超大陸はどのように誕生し、分裂したのか。この謎を解き明かすカギを握るのが地球内部に存在するマントル。大陸移動の謎をさらにおいかけていくと、マントルの動きが、ときに気候変動や極移動にまでかかわることが明らかになってきた。「マントル対流」と「大陸移動」をキーワードにダイナミックな地球の進化を読み解いていく。


まえがき

 2011年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震をきっかけに、地震の発生メカニズムや、南海トラフ地震など今後起こりうる巨大地震の可能性など、地震に関連する報道が以前にも増してテレビや新聞でよく目にするようになりました。

 みなさんは、「大陸が移動する」「プレートが動く」と聞いてどのような想像をするでしょうか?

 きっと、私たち人間が住む大地が長い時間をかけてゆっくりと動く雄大な地球の営みを想像するのではないでしょうか。一方で、そのようなダイナミックな地球の営みは、ときに、地震や火山噴火を引き起こし、私たちの生活や生命を脅かします。

 東北地方太平洋沖地震とそれに続く津波により、私たちは地球の内部の非情ともいえるダイナミックな活動をまざまざと見せつけられました。地球上に分布する大陸が移動しているという事実は、私たちの人生の時間スケールでは実感することはできませんが、プレート運動に起因する地震活動は地球の内部が現在もなお活発に動いていることを実感させられます。

 固い岩石でできた層が多くを占める地球内部の諸現象を扱う研究分野を「固体地球科学」といいます。私の専門分野は、固体地球科学の中で、特に「地球惑星内部物理学」、あるいは「固体地球惑星物理学」と呼ばれる学問です。この学問は、物理学のみならず、数学、化学、生物学、地質学などあらゆる自然科学の知識をフル活用して、地球や惑星の内部や表層で起こっている物理現象や地質現象(例えば、プレートの生成や沈み込み、大陸移動、造山運動、地震・火山噴火、マントル対流など)を、さまざまな研究手法を用いて解明する学問です。とりわけ、私の得意分野は、コンピューター・シミュレーションの手法を用いて、地球内部でどのようなことが起こっているか、また、地球内部の運動と地球表層の運動がどのような相互作用をしているかを研究することです。

 本書では、「大陸はなぜ移動するのか」という疑問から解きほぐし、地球の内部から表層までのダイナミックな動きを解説していきます。

「大陸移動」や「プレートテクトニクス」という言葉は、地震の多い日本では、テレビや新聞などでもよく目にするでしょう。中学や高校の教科書でも必ず紹介されていて、一般の方にも比較的親しみのある地球科学現象であると思います。

 また、私は、研究の成果発表とアウトリーチ活動の目的で、個人のウェブページを開設しています。アクセス解析によって、さまざまな検索ワードで私のページに辿り着いていることが分かります。その中でも圧倒的に多い検索ワードは「大陸移動」です。

次ページ  このような状況で大陸移動を知…
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