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2014年09月19日(金)

『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第5巻 生態学』
D・サダヴァ他=著 石崎泰樹・斎藤成也=監訳

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MIT(マサチューセッツ工科大学)を始めとする
アメリカの各大学で採用される
世界基準の生物学の教科書、完結!

「人類はどこへ向かうのか」
世界中の人々が共有すべき英知が個々にある!
20万部突破の世界基準の教科書!


監訳者まえがき

 本シリーズ、すなわち『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書』シリーズの第1~3巻は、米国の生物学教科書『LIFE』(eighth edition)から「細胞生物学」、「分子遺伝学」、「分子生物学」の3つの分野を抽出して翻訳したものである。今回『LIFE』の姉妹版の『PRINCIPLES OF LIFE』の「進化生物学」と「生態学」に関連する分野を抽出して、それぞれ第4巻・第5巻として出版することとなった。第1~3巻を出版したときに、ある識者から「これはいわゆるミクロの生物学のみで、マクロの生物学が抜け落ちている」との批判を受け、ずっと気になっていたのだが、『PRINCIPLES OF LIFE』が2012年に出版されたのを機に、マクロの生物学である「進化生物学」と「生態学」の分野を翻訳することにした。第1~3巻の監訳者の石崎と丸山はともに医学部出身で「ミクロの生物学」の研究・教育に携わってきており、「マクロの生物学」に関しては高校と大学の教養課程の「生物学」以来ずっとご無沙汰している状況だったので、企画の初期段階では甚だ心もとなかったのだが、幸いにして「進化生物学」を専門とする斎藤が丸山に代わって監訳に加わることになり、この度無事出版の運びとなった。

『PRINCIPLES OF LIFE』も『LIFE』と同様に、図版を眺めるだけでも生物学の重要事項をおおよそ理解することができるが、その説明もまことに要領を得たもので、なおかつ奥が深い。翻訳を終えて感じたことは、生物学は「マクロ」と「ミクロ」の両方の知識と視点が非常に大切だという(極めて当然の)事実である。たとえ「ミクロ」の生物学を専門としていても、「マクロ」の生物学の知識・視点が加われば、自身の研究にさらに幅が加わり、場合によってはブレイクスルーをもたらしてくれる可能性もあるだろう。逆もまた然り。これから生物学を学ぼうとする読者は是非第4巻・第5巻も手にとってほしい。

 MITでは生物学を専門としない学生もすべてこれらの教科書の内容を学ばなければならない。生物学を専門としない学生が生物学を学ぶ理由は何であろうか? 一つは一般教養を高めて人間としての奥行きをひろげるということがあろう。また、その学生が専門とする学問に生物学の考え方・知識を導入して発展させるという可能性もある。さらには、文系の学生が生物学の考え方・知識を学んでおけば、その学生が将来官界・財界のトップに立ったときに、バイオテクノロジーの最先端の研究者とのあいだの意思疎通が容易になり、バイオテクノロジー分野の発展が大いに促進されることも期待できる。すなわち技術立国の重要な礎となる可能性がある。また、一般社会常識として、さまざまな研究や新薬を冷静に評価できるようになろう。例えば、癌治療法として生物学的には有害な可能性が高い療法が存在している。人間も生物である以上、人間社会を考えるには生物を知らなければならない。

「本シリーズを手に取る主な読者はおそらく次の三者であろう。第一は生物学を学び始めて学校の教科書だけでは満足できない高校生。彼らにとって本書は生物学のより詳細な俯瞰図を提供してくれるだろう。第二は大学で生物学・医学を専門として学び始めた学生。彼らにとっては、生物学・医学の大海に乗り出す際の良い羅針盤となるに違いない。第三は現在のバイオテクノロジーに関心を持つが、生物学を本格的に学んだことのない社会人。彼らにとっては、本書は世に氾濫するバイオテクノロジー関連の情報を整理・理解するための良い手引書になるだろう」。第1~3巻の監訳者まえがきでこのように書いた。しかしながら、大事な方々を忘れていたように思う。すなわち若者に生物学を教えてくださる先生方である。この教科書は決して無味乾燥な既知の事実を羅列しているものではない。教科書に載っている非常に重要な事実がどのような実験により明らかになっていったかが、わかりやすい図で説明されており、生物学研究の醍醐味の一端を味わえるようになっている。こうした部分は、生物学に限らず、科学の面白さを味わうためには絶対必要である。先生方が若者に生物学の面白さを伝えるさいの一助としてこのシリーズを活用していただきたい、と切に願う。

次ページ  本シリーズは以下の構成となっ…
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