裏社会
「工藤会を壊滅せよ!」。オール日本警察で臨む、前代未聞の暴力団殲滅作戦が意味するもの

日本で唯一、「特定危険指定暴力団」に指定され、不当要求には中止命令を経ずに逮捕できるなど、警察当局が超法規的措置を認められた工藤会(本部・北九州市)が、さらに追い詰められている。

前代未聞の捜査体制

トップの野村悟総裁と、ナンバー2の田上不美夫会長が、1998年に発生した梶原国弘・元脇之浦漁協組合長が射殺された事件に関与していたとして逮捕。福岡県警は、小倉北署に県警警察官の3割に当たる3800名体制の特別捜査本部を設置、全国からも500名強の応援要員を集めるなど、前代未聞の捜査体制を敷いている。

樋口真人・福岡県警本部長は、9月13日、出陣式で「オールジャパン、オール日本警察で工藤会対策に臨め!工藤会対策に引き分けはなく、日本警察として正念場だ。一体となって工藤会の壊滅を目指そう!」と、捜査員・機動隊員らを叱咤激励した。

言葉通り、通常の捜査ではない。

事件は、既に、2002年6月、2代目工藤連合草野一家(当時)の2次団体幹部や下部組織組長ら4人が逮捕され、うち2人が有罪判決を受けて確定した。当時、有力2次団体田中組若頭だった田上容疑者も逮捕されたが、処分保留で釈放され、不起訴処分だった。この時、田中組組長だったのが野村容疑者である。

判決で、「2代目工藤連合草野一家の組織的関与は明白」としながらも上層部に行き着かなかったのは、証言と証拠が揃わなかったためだろう。では、今回、新たな証言が見つかったのか。

マスコミ各社は、「工藤会内部から『カシラ』関与示す証言」と、新たな証拠と証言に基づく捜査であることを強調しているが、今回の事件は、暴力団と徹底的に対峙、壊滅の意思を強く持つ時、警察は、「どんな手を使ってでも立件する」ことを、内外に示した潮目の変わりを伝える事件と言ってよかろう。

つまり、ひとつの殺人事件の解明が目的ではなく、北九州市周辺で発生した数々の未解決事件について、工藤会関与を疑ったうえで全事件の全容解明を目指し、それを組織壊滅に利用する。従って、梶原元組合長射殺事件が“不発”に終わっても、次々に逮捕案件を用意しているという。

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