金融・投資・マーケット
銀行の投資信託窓口販売は手数料引き下げで活路を

『週刊 金融財政事情』(9月15日号)が、「検証・銀行の投資信託窓口販売」というタイトルの特集を載せている。金融庁が金融機関に対する検査をまとめた「金融モニタリングレポート」の最新版で、銀行の投信窓販を(金融庁としては、ずいぶん)批判的に取り上げたことに呼応する特集だろう。

通称「きんざい」と呼ばれる同誌は、銀行の業界誌というカラーが強い地味な雑誌だが、近年、編集長が代わってから、企画が大胆になるのと共に記事の内容が明らかに深化しており、経済の重要な一部である「金融」の現状を把握する上で、筆者は継続的に参考にしている。

証券マンも銀行員もやることは変わらなくなる

さて、それまでは証券会社だけが販売していた投資信託を、銀行の窓口で売る通称「銀行窓販」は、「日本版金融ビッグバン」の一環として1998年に始まった。確かに、規制緩和の一環ではあったが、銀行に対して新たな収益源を与えたいとする金融行政の意向が働いた、銀行優遇的な措置の一つだった。

しかし、前年に山一證券、三洋証券などが破綻していた証券界としては、リテール営業で投信を担当した社員が、銀行にあって新たな職を得る機会でもあった。

筆者は、1997年に山一證券に在職していたが、かつての同僚や知り合いの多くが、同社が自主廃業した翌年に、銀行の投信窓販担当者として再就職していったことを覚えている。今にして、思えば、あの頃の金融界には、膿を出し終われば、新しい成長機会があるのではないかと思わせる、楽観的気分がそれなりにあった。今にして思うと、バブルの「余熱」がまだほんの少し残っていたのだ。

当時、投信の銀行窓販に対して多くの証券マンが言ったのは、「銀行員に、リスク(のある)商品は売れない(だろう)」ということだったが、2000年代前半に「グローバル・ソブリンオープン」(国際投信投資顧問)を代表とする毎月分配型投信を、分配金を中心に顧客に説明して売る事に慣れた経験などを積んで、今では、証券会社が多く売る商品と遜色のない、リスクの大きな(そして手数料の高い)投信を顧客に販売するようになった。

元々のカルチャーが少々ちがっていても、会社のため、自分のために、収益をできるだけたくさん稼ぎたいというモチベーションは変わらないので、証券マンも銀行員も時間が経つとやることは変わらなくなる。

金融モニタリングレポートを見ても、投資信託全体の投資家の保有期間の平均が2.0年であるのに対して、メガバンクの投信顧客の平均保有年数が2.5年であるといった程度の差しかない。

顧客に、なるべく新しい投信を買わせて販売手数料を稼ぎたいという収益のモチベーションに、証券・銀行の別があると考える方が、経済学的に非現実的というものだろう。

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