20~30代が活用不足の「確定拠出年金(DC)」とは? DCを知る4つのポイント
『日本人の4割​が老後準備資金0円』第2章より

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3つのセグメント

著者の野尻哲史氏

ところで、アンケートの平均値を使った議論はトレンドをみるうえでは有効ですが、多様化が進む社会の中では、特殊と思われがちなセグメントが意外に大きかったりするものです。そこでここでは、退職資産形成に関連する3つのセグメントを紹介しようと思います。

まずはDC(確定拠出年金)制度の活用不足です。資産準備に効果があることが加入者の特徴から明らかですが、その制度を20代、30代が活用しきれていません。

2つ目は40代のための警鐘ですが、子供の教育と自分の老後と親の介護が一度に襲いかかりそうな「トリレンマ世代」の紹介です。

そして3つ目は、今や50代の2割は独身という「シングルズ」(独身になる理由はさまざまなので、複数形のsをつけてシングルズです)の資産準備にかかわる課題をみていきます。

列挙してわかったのですが、3つの共通点は、セグメントの大きさがすでに全体の20%の規模になっているということです。「それ、自分のことかも」という人がいるかもしれませんね。

2013年に就職した私の娘も、確定拠出年金に加入しました。といっても、娘は当初、「これなんのこと」と、わけがわからなかったようです。新入社員研修の一環で説明会があったようですが、「寝ちゃった」ってペロッと舌を出す始末。でも、きっとそうでしょうね。制度の話を聞いているだけなら、眠くなるのもわからなくはありません。

相談に来たので、いや相談のLINEが来たので、電話をかけて話しました。

「拠出額はいくらだ?」
「うーん、2,000~3,000円くらい」
「えっ、そんなに少ないのか? そりゃ大変だな。どのファンドを買うのか?」
「まだやるかどうかわからない」
「おい、やらなかったらどうなる?」
「その分はお給料に上乗せしてくれるって」
「2,000~3,000円上乗せしてどうする。お昼ご飯2~3回でなくなっちゃうぞ。だったら最初からなかったものとして、確定拠出年金に回せ!」
「うーん、そうかな・・・」

ということで、無事に確定拠出年金に加入させることができました。

DCを生かしきれない20~30代

確定拠出年金、勤労者の31.6%が知っているというこの自助努力型の年金は、退職準備を一歩進めてくれる有用な制度です。NTTグループやパナソニックといった超大型企業が導入することで、ここにきて注目されていますが、20代、30代にはまだあまり知られていないようです。こうした若い世代の人ほど老後の資産形成の必要性が高いのに、残念なところです。

日本人の4割​が老後準備資金0円』 (講談社、税込み 907円)

確定拠出年金は、401kとか、DCとかの通称で呼ばれている私的年金で、サラリーマンの方にとっては年金の3階部分に相当するものです。図表6では他と時期を揃えるためにちょっと古いデータを使っていますが、2013年3月末で439万人が加入していました。横並びでみれば、すでに公務員の共済年金と同数の加入者規模になっていることがわかります。この新しいタイプの年金に加入している人は、資産運用に比較的積極的であるという特徴を持っていますので、これをまとめてみることにします。

DCが2001年にスタートして10年以上がたちました。企業型のDCを採用している企業は2014年5月現在で、1万8617社にまで広がり、加入している従業員は497.1万人にまで達しています。サラリーマンの7人に1人くらいはDCに加入するまでになっています。そのほかに、自営業者の方でも加入できる個人型DCもあり、こちらは同じく2014年5月現在で18.8万人と少ないのですが、合わせると516万人になります。