「老後の生活費はだんだん減る」は嘘だった! 「老後難民」時代を乗り切るための「逆算の資産準備」とは?
『日本人の4割​が老後準備資金0円』第1章より

何歳まで元気でいられるか?

「さとし、元気か?」

著者の野尻哲史氏

ときどき祖母と電話で話をしますが、現在96歳になる祖母は、耳は遠くなり、目はよくみえず、足腰も弱くなったとはいえ、幸いにもまだまだ私のことを気遣ってくれます。うれしいかぎりです。

現在60歳の女性の5人に1人は96歳まで生きる時代です。とはいえ、なんとか一人で生きていける元気な96歳はそれほど多いとはいえないでしょう。平成25(2013)年版の「高齢社会白書」によると、75歳以上の要支援者は111万人、要介護者は315.6万人もいます。合計で420万人以上。これは、75歳以上の人口の29.9%に達しますから、75歳以上の3割が介護などを必要とする時代になっているのが実情です。

また、日常生活に制限のない健康な状態の年齢である「健康寿命」は、厚生労働省の2010年のデータで、男性が70.42歳、女性が73.62歳です。男性の平均寿命は79.64歳ですから9.22年、女性だと平均寿命は86.39歳ですから12.77年の開きがあります。

平均的にいえば、"日常生活に制限の出ている時期"が10年前後ある、ということになりますから、私たちの晩年はけっして楽なものではないということでしょうか。

経済的な問題が老後を深刻化させる

日本人の4割​が老後準備資金0円』 (講談社、税込み 907円)

ところで、2010年に『老後難民』と題する本を上梓したことで、多くの方から「老後難民」ってなんだ、と聞かれるようになりました。年齢を重ねることで肉体的に衰えたり、生活力が落ちたりすることは否めませんが、経済力が落ちることでその状況がよりいっそうひどくなったり、まだまだ生活できる力があるのに孤立したりすることが懸念されます。自分では大丈夫だと思える資産があっても、実は想像以上に費用がかかり、それによって最後年になって一気に経済力が落ちることもあり得ます。

私は「老後難民」を、「自分が思っている以上に経済力が落ちることで、単に高齢になることが普通以上に負担となる高齢者」と位置付けています。ここで肝心なことは、肉体的な問題が本質的な問題ではなく、経済的な課題が問題を深刻化させるという面に注目していることです。