経済・財政
谷垣幹事長を巡る安倍官邸と財務省の
消費増税「取り込み合戦」が始まった

安倍首相支持率の命運を握るのは谷垣幹事長? photo Getty Images

先々週(3日)の内閣改造・自民党役員人事で、女性閣僚の登用に次いで政権支持率のアップに寄与したのが、谷垣禎一前法務大臣の自民党幹事長への起用だった。

日本経済新聞の世論調査は、内閣支持率が60%と前回調査(8月)に比べて11㌽上昇した。その内訳にみると、小渕優子経済産業相など女性閣僚の登用を58%、谷垣氏の起用を46%、そして石破前幹事長の交代を32%の人がそれぞれ評価したという。

谷垣人事への評価が高かったのは、まず谷垣氏が総裁経験を持ち、大物幹事長の誕生となったからだろう。加えて、タカ派色の強い安倍晋三首相や石破氏と対照的に、親中派でハト派と目されているかららしい。集団的自衛権を巡る解釈改憲で政府の右傾化に不安を感じた人たちが、バランスがとれると歓迎したとされている。

一方、まったく違う観点から谷垣人事に注視する向きもある。それは、来秋実施予定の消費税率の再引き上げを阻止する布石として、あえて増税容認派の谷垣氏を自民党執行部に取り込んだのではないかというものである。

谷垣氏は1945年3月生まれ。東京大学法学部を出て1979年に8度目の挑戦で司法試験に合格、3年後に弁護士登録をした。その翌年、旧京都2区から衆議院議員選挙に出て、初当選。現在の選挙区は京都5区で、当選11回を誇っている。

政治家としてのキャリアで最も目を引くことのひとつは、1998年に旧大蔵政務次官、2003年から財務大臣をそれぞれ務め、財務省と太いパイプを持つことだ。

2009年に野党に転落した自民党で、損な役回りと言われながらも総裁職に就き、複数の選挙で勝利して政権奪回の基礎を築いた。そして、「社会保障と税の一体改革」に関する3党合意を、民主党政権の野田佳彦首相らとまとめ、解散・総選挙への布石を打った功績もある。

こうした経緯から、谷垣幹事長が、財政再建の重要性や増税の必要性に理解を示してきたことは有名だ。このため、今回の内閣改造・自民党役員人事を受けて、野党から「増税シフト内閣だ」(小沢鋭仁日本維新の会国会議員団幹事長)といった批判も噴出した。