狂気の集団の中では正気を保つ人間が狂人になる---歪んだ言葉を正常に戻す、B層社会への抵抗【第2回】

適菜収著『日本をダメにしたB層用語辞典』より

この企画書のマトリクスは「国民を愚弄している」と批判されましたが、今の時代を分析するうえで重要な意味を含んでいます。

縦軸(IQ)は説明するまでもありませんが、横軸(構造改革に対する姿勢)は「日本固有のシステムを国際基準に合わせることに対する是非」「グローバリズムに対する姿勢」と捉えることができます。

さらに深部を読み取れば「近代的諸価値を肯定するのか、警戒するのか」と読み替えることもできる。そうすると、B層は《近代的諸価値を妄信するバカ》《改革バカ》ということになります。

平等主義や民主主義、普遍的人権などを信じ込んでいる人たちですね。

重要な点は、B層が単なる無知ではないことです。

彼らは、新聞を丹念に読み、テレビニュースを熱心に見る。そして自分たちが合理的で理性的であることに深く満足している。

その一方で、歴史によって培われてきた《良識》《日常生活のしきたり》《中間の知》《教養》を軽視するので、近代イデオロギーに容易に接合されてしまう。

なにを変えるのかは別として、《改革》《変革》《革新》《革命》《維新》といったキーワードに根無し草のように流されていく。彼らは、権威を嫌う一方で権威に弱い。テレビや新聞の報道、政治家や大学教授の言葉を鵜呑みにし、踊らされ、騙されたと憤慨し、その後も永遠に騙され続ける存在がB層です。

スペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセットが描いたような「超デモクラシーの勝利」「大衆の政治権力化」の成れの果てに、新しい暴力を生み出す主体がB層なのです。