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愛読書は『葉隠』です オリックス・森脇 浩司 監督「地味力」で勝つ!

2014年09月15日(月) 週刊現代
週刊現代

話し、信頼し、任せる

代理ではなく、明確なトップに立ったいまもその姿勢に一切変わりはない。

「『調子はどうだ』、こう言いながら、毎日一人ひとりに声をかけていますね。選手を気にかけ、ときには寮にまで顔を出し、若手と一緒の布団で寝ることまであるそうです。

さらに特徴的なのは、スタメンから外した選手や代打を出された選手に、その理由を直接説明すること。プロの世界で、そんなことをやっている監督はいないでしょう。『実力が足りないから外した。監督命令は絶対』が当たり前の世界ですから。でも森脇監督は、きちんと説明した上に、最後は必ず『だから次はこうしよう』と前向きに励まして締める。今季は8番に打順を下げられることも多いT—岡田なんかは、『直接言われれば、頑張らなきゃと思いますやん』と言っています」(前出のオリックス担当記者)

森脇の実兄で、元社高校野球部監督の森脇忠之が語る。

「浩司は昔から、道にお地蔵さんがあれば手を合わせるような優しい人間でした。俺が俺がというところはありませんし、人を蹴落としてでも、という性格でもありません。そういった人間性が、様々な経験を積む中でより一層成長した。試合を見ていても、トップダウンで選手やコーチに何かを命じることはない。むしろ信頼して任せているように感じます。

横綱や大関のように相手を待ち構えて勝てる人間と、相手を研究して力を尽くさないと負けてしまう人間がいる。浩司は後者であることを自分でよくわかっています。去年は上手くいかず悩みを口にすることもありましたが、そこで見つかった課題を一つ一つ消していった。それが今シーズンの躍進につながっているんでしょう」

地味で温厚だが、選手への愛と野球への情熱は誰よりも熱い。それが闘将でも智将でもない名将・森脇浩司という男だ。

「週刊現代」2014年9月13日号より

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