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愛読書は『葉隠』です オリックス・森脇 浩司 監督「地味力」で勝つ!

2014年09月15日(月) 週刊現代
週刊現代

観客の度肝を抜く華麗な采配はない。有無を言わさず選手を従わせる迫力もない。それでも森脇浩司は、万年弱小だったオリックスを強くした。彼のもとで戦った選手だけが知る、人間力に迫った。

ファンを実力で黙らせた

今シーズンの開幕前、オリックスの快進撃を予想した野球評論家は皆無に近かった。しかし蓋を開けてみれば、開幕から好調を維持し、ソフトバンクと1ゲーム差の2位につけている(8月28日現在。以下同)。

打率首位を走る糸井嘉男や12球団ナンバーワンの防御率を誇る投手陣など、躍進の要因に挙げられる選手は何人もいる。だが、彼らのモチベーションを高め、「勝てるチーム」を作り上げたのは、間違いなくこの男だ。

森脇浩司、54歳。'97年から'09年までダイエー('05年からソフトバンク)で内野守備走塁コーチや二軍監督を務め、'11年には巨人の二軍コーチに就任。'12年からはオリックスに移り、内野守備走塁コーチを務めた後、岡田彰布前監督の解任に伴い、シーズン終了直前から指揮をとり始めた。

オリックス前監督の岡田彰布が言う。

「実はね、森脇をオリックスに引きぬいたのは俺なんだ。試合において重要な役割を果たす優秀なサードコーチャーを探していて、当時巨人にいた森脇に目をつけた。巨人でも大事にされているみたいで、渋っていたけど、最後は俺が直接原監督に電話してなんとか譲ってもらった。

真面目な男で酒は飲まないし、会議でも余計な口出しをしない。ノックも抜群に上手くて、内野手の指導は全て任せたよ。選手からの信頼も厚かったわ」

監督就任からわずか2年足らず。過去10年、優勝はおろか、一度しかAクラスに入れなかったオリックスを、森脇はどうやって変えたのか。

'13年まで森脇のもとで二軍コーチや監督を務めた弓岡敬二郎が言う。

「蒔いたタネが芽を出し始めたんじゃないでしょうか。基本に忠実な守りの野球。それが森脇監督の目指すものです。今季はそれがようやく形になってきた。昨季から結果がでなくても我慢して起用してきた捕手の伊藤光、ショートの安達了一、センターの駿太といった選手が力を発揮するようになった。つまり、守りの要となる、センターラインが強化されたんです」

誰だこいつは!なんでこんな打てない奴を使うんだ!—。昨シーズン、安達や伊藤ら「地味な選手」を多用する森脇に対し、口の悪い関西のオリックスファンからはそういった不満が噴出した。しかし森脇は、それらの批判には一切耳を貸さず、己の見る目を信じた。そして今シーズン、彼らをチームを支える縁の下の力持ちに育てて見せ、ファンに指導者としての実力を証明したのだ。

森脇が重視したのは、守備だけではない。足を使った野球をチームに定着させたのも森脇の采配だ。

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