賢者の知恵
2014年09月17日(水) 週刊現代

右を見ても、左を見ても「正論バカ」が日本を滅ぼす なんでも「シロ」「クロ」つけないと、納得できない人が急増中!

週刊現代
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正論で言い負かして、良い気になってる、「正論バカ」が、日本中で増えている。会社も人も心折れ、ただ黙って従うだけ。日本はどんどん正しくない道へ。でも誰も言い返せない、だって正論なんだもの。

とにかく相手をやり込めたい

今の世の中を象徴する、「幻のCM」がある。

そのCMは東京ガスが制作したもの。『家族の絆—母からのエール篇』と題され、女子大生の就職活動をテーマにしている。

何度失敗してもくじけず面接を受け続ける女子大生の娘と、それを温かく見守る母。やっと手応えを感じ、期待が高まるが、最後の最後に落とされる。涙する娘と、優しく抱きしめる母。母はガスに火を点け、娘に手料理を食べさせる。

東京ガスとしては「母娘の愛」を伝えるハートフルなCMのつもりだったのだろうが、これが思わぬ騒動を引き起こす。

「リアルすぎて心が痛む」

「半官半民の『スーパー勝ち組』企業に就活生の辛さが分かるか」

「そもそも、話の中身がガスと関係ない」

こんな批判が吹き荒れ、CMはあえなく打ち切りとなったのだ。東京ガス広報部は、打ち切った理由をこう説明する。

「たしかに批判はいただきました。それだけが理由ではありませんが、お客様の反応もひとつの判断材料とし、放映を中止しました」

注目すべきは、これらの批判を浴びせた人々は、いわゆる「クレーマー」ではないという点だ。自分が何か実害を被り、補償を求めているわけではない。とにかく正論を突きつけて、相手をやり込めたい—そんな動機に駆り立てられた人々なのだ。

メディアコミュニケーションが専門の江戸川大学教授・濱田逸郎氏はこう語る。

「正論をふりかざす批判者たちの目的は、金銭や補償ではない。匿名のまま正論を繰り出して相手を言い負かし、自分の承認欲求を満たすことが目的なんです。まさに一億総覆面レスラー状態になっている。企業が消費者と向き合うことが、ますます困難な世の中になってきました」

こうした「正論」は今、日本のいたるところで蔓延している。そして前述の東京ガスのように、この正論に屈してしまう企業や大人たちが大勢いるのも、また現実だ。

もう一つ、似たような話がある。味の素の『日本のお母さん』というCMだ。朝から晩まで家事と仕事に明け暮れる母親が主人公のストーリー。奮闘する母親の後方で、父親がノートパソコンに向かう姿が一瞬だけ映るのだが、それが『正論好きの人たち』に火を点けた。

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