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韓国でベストセラーになっている「安倍暗殺」本の中身「天皇暗殺」ドラマを作った過去も……
イカれてないか 韓国・中国【第1部】
〔PHOTO〕gettyimages

現代に蘇った「テロリスト」が、安倍首相を狙撃する—ぎょっとするような内容の小説が韓国で話題になっている。その中身を覗いてみると、強引なストーリー展開と荒唐無稽のオンパレードで……。

トイレに亡霊が現れて

〈ハルビン駅に降り立った安倍は、安重根という名前と1909年にこの駅で起きた事件について思い出した。だが、彼の顔に浮かんだのは反省の気持ちではなく、冷笑だった。

安重根は安倍の表情を見た瞬間、コトを起こす覚悟で右手を懐に入れた。

一方の安倍は、下腹が冷えるのを感じて歩みを止めた。「また下痢か!」

警備員は安倍の急な動きに緊張し、両腕を広げて警護しようとする。だが、下腹を押さえた安倍は、警備員の隙間を抜けてトイレのある客車に向けて走った。

拳銃を抜いた瞬間と、安倍が警備の輪から抜け出した瞬間の驚くべき一致。安重根は迷うことなく引き金をひいた。

バン! バン! バン!

天地を割くような銃声と同時に、安倍は下腹部を押さえたままプラットホームの床に倒れた。青ざめた警備員たちが安倍の身体に覆いかぶさったが、すでに安重根は引き金から指を離し、両手を挙げて万歳三唱をしていた。

「大韓民国万歳! 東洋平和万歳! 世界平和万歳!」〉

これは、この8月に韓国で出版され、話題になっている長編小説『安重根、安倍を撃つ』の一節である。

1909年、中国東北部のハルビン駅で初代韓国統監・伊藤博文を暗殺した安重根が現代に蘇り、日本の安倍首相を再び狙撃するという、想像力たくましい歴史ファンタジーノベルだ。

作者は'57年生まれの作家キム・ジョンヒョン氏。警察官として働いた後、小説家に転向し、'96年には350万部という大ベストセラー小説『父』を出した大御所だ。几帳面な資料調査と取材に基づくリアルな作風で知られている。

だが、このたび出版された作品は、とてもリアルさを追究するベテランが書いたものとは思えないほど荒唐無稽なものだ。もう少し詳しく内容を見てみよう。

安倍首相は北京から高速鉄道731号に乗ってハルビンに向かっていた(ちなみに731という数字は、人体実験を行って生物兵器を開発していた在ハルビンの日本陸軍研究機関731部隊を想起させる)。前日行われたアジア首脳会議で、各国から慰安婦問題について日本は謝罪と補償をすべきだという意見が出され、安倍首相はむしゃくしゃしていた。持病の腹痛に悩まされて駆け込んだ車中のトイレで、首相は安重根の亡霊に出会う。

〈「下痢は止まったのかい、安倍?」

背後から聞こえる声に驚いて振り向くと、白い韓服に白い綿の外套をきた男が立っているではないか。

「だ、誰だ」

「私は大韓人・安重根だ」

「安重根?」

確かに聞き覚えのある名前だったが、すぐにはわからなかった。不思議な出来事だった。相手は明らかに韓国語で話しているにもかかわらず、韓国語のわからない自分にも言葉が通じていたのだ。そして、相手も自分の日本語を聞き取っているようだった〉

安重根は、旧日本軍が行ってきた蛮行や安倍の国家主義的政策を責め立てる。

〈「ここに来る途中に南京を通ったが、その時に何を思ったか?」

「南京?」

「まだ日の出ている時間だったろうに、それにも気が付かなかったのか」

「そのときは休んで眠っていたので……」

「1937年12月から6週間にわたって、お前たち日本軍が民間人30万人を虐殺した土地なのに、罪悪感もなく眠っていただと?」

「私に何の関係がある。そのときは生まれてもいなかった」

言葉に詰まった安重根は舌打ちをし、安倍を見下ろした(…中略…)。

「お前たちの罪は他人のものを盗んだ程度か? 酒によって暴力をふるった程度か? その罪は計画的な強盗、強姦で、数百万の無辜の命を奪い、死刑に処せられるべき重罪ではないか? にもかかわらず、政府の長ともあろうものが靖国とかなんとかいう神社に行って、過去に大罪を犯した者たちに頭を垂れるとはなにごとか!」〉

安重根は「明日になれば反省することになるだろう」と捨て台詞を残し、消える。そして翌日ハルビン駅で安倍首相を撃つのだ。

撃たれた安倍首相は奇跡的に一命を取り留めたが、安重根は殺人未遂の罪で法廷に立つことになる。

法廷に登場するのは裁判長の孫文に、検察官の蔣介石、弁護人の周恩来となぜか中国の歴史的人物たち。被告の安重根は逆に安倍首相を暗殺しようとした15の理由を並べ立て、慰安婦や竹島、河野談話といった日韓関係で懸案となっている問題について自説を滔々とまくしたてる。

〈安重根が裁判長に、「戦争を画策したものを裁かない国はあるのでしょうか」と聞くと、裁判長は「ありません」と答えた。

安重根が「つまり安倍は万国の罪人なのです」と言うと、裁判長はうなずいた〉

法廷の様子は世界中にテレビ中継され、世界の視聴者たちに感動を与えた。

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