メディア・マスコミ
「世の中から『生きづらさ』をなくすために、解散を目指して活動したい」---「Plus-handicap」編集長・佐々木一成氏インタビュー
Plus-handicap(プラス・ハンディキャップ)」編集長・佐々木一成氏

ひきこもりやうつ、障害、差別、ブラック企業、ストレス、難病---障害者・健常者といった括りではなく、「生きづらさ」に焦点を当てた「Plus-handicap(プラス・ハンディキャップ)」というウェブマガジンがある。

2013年3月に創刊したこのメディアの編集長を務めるのは、両足不完全と右手の中指欠損という身体障害を抱える佐々木一成氏だ。これまではメディアとして情報発信するとともに、イベントを開催してきたが、9月には一般社団法人となり、さらに活動を強化するという。

今回、佐々木氏にプラス・ハンディキャップを立ち上げた背景やその手応え・課題、「生きづらさ」を解消していくアプローチなどについて話を聞いた。(聞き手:佐藤慶一)

健常者の世界に障害者がとけ込めていないと実感した

---佐々木さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。

ぼくは両足不完全と右手の中指欠損という障害を抱えて生まれてきました。最初からそのことが当たり前だったため、実は障害者と健常者の違いをあまり感じたことがありません。小学校・中学校・高校は一般クラスで過ごし、大学も普通受験。就職活動も一般的な就活サイトを利用しておこない、基本的に生まれてからずっと障害者のカテゴリーに属すことなく生きてきました。

一方で、ぼくと同じように障害者とカテゴライズされるひとは約700万人ほどいます。障害者だけの世界や支援者・ボランティアに支えられて生きていると、社会に溶け込めず、生きていくなかで「生きづらさ」を感じる人も多いです。そのような狭い世界で生きていることが、ざっくりと言うと「リア充」じゃないなあと感じていました。

たとえば、学生時代に合コンに参加したときには、障害者はほとんど見かけませんでした。砂浜にもいないし、あるいは、障害者の女性とデートに行ったこともありません。ぼくが障害者として健常者の世界で生きていると、障害者がどこにいるのかもわからず、社会にうまく入り込めていないという印象を持っていました。この問題意識は学生時代からプラス・ハンディキャップの創刊くらいまでの間、悶々と抱えていました。

大学卒業後は、人事コンサルティング会社に就職しました。障害者が社会に入ることを考えたときに、就職が一番わかりやすい。だから、「雇用」をきちんと勉強することが重要だと考えたのです。企業には入ったものの、18歳くらいから起業には関心がありました。

地元が福岡なのですが、当時の「ダイエーホークス」が身売りするという時期に、ソフトバンクの孫さん(孫正義氏)が買収したり、楽天社長の三木谷さん(三木谷浩史氏)や当時ライブドア社長の堀江さん(堀江貴文氏)がオリックスと近鉄の合併で新球団をつくる動きがあったりと、野球ファンという目線から起業家を知ったのです。それから起業(家)がかっこいいと思い、起業という選択肢ができました。そのためにはまず社会経験が必要だと考え、3年間のサラリーマンを経て、起業したのです。

---2013年3月に「プラス・ハンディキャップ」を創刊した背景はなんでしょうか?

独立してプラス・ハンディキャップを立ち上げるまでには紆余曲折がありました。障害者の採用支援をおこなおうと思い、「粋なり」という会社を立ち上げたのですが、すでに多くの競合が存在していました。やる気が削がれて、方向転換し、前職において企業研修の研修に携わった経験を活かし、ワークショップばかり開催している時期もありました。

転機となったのは、NPO法人グリーンズが主宰する「green school Tokyo」のマイメディア学科に通ったことです。greenz.jp編集長の兼松さん(兼松佳宏氏)と話したり、講義を受けながら学びを得ていきました。

そして、もともとの課題意識にあった「障害者と社会をつなぐ」ことを考えるなかで、「プラス・ハンディキャップ」というコンセプトに気づいたのです。これはブロガーのイケダハヤトさんとのディスカッションするなかで出てきました。「自分のハンディをプラスに考えることは大事だよね。ハンディキャップをプラスに考えよう」という考えのもと、いまのメディアが生まれたのです。

当時は、あくまで「障害者のハンディキャップ」がマイナスではなくプラスのものだ、という捉え方だったのですが、創刊までの間に児童養護施設のボランティアをしたことや身の回りにうつを抱えている人が多いことから、「自分は障害を持っているけれど、彼らより楽に生きているな」と感じたのです。そこで、「生きづらさ」というコンセプトを立てることで、障害者も健常者も含めて考えることができるようになりました。

そのため、生きづらさを抱えていれば、どなたでも、ライターとして参加できますが、公募で手を挙げてくれるライターについては、「生きづらい」当事者にかぎっています。

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