【法務 その2】 日本法曹界の量、質、そして制度面での拡充を!
〔PHOTO〕gettyimages

今回も数字から入ってみたい。

「アメリカ:日本=389:29」

直近の数字だが、実に13倍以上の開きがある。

日米の人口10万人あたりの法曹人口の格差だ。

日本は欧米に比べて、弁護士の数、裁判官、検事を含めた法曹人口が少ないと言われてきた。このため、日本でも弁護士などの法曹人口を増やし、法曹の質を高めようと、ロースクールの導入などがおこなわれたわけだが、ここで、もう1つの数字を見てほしい。

「93%」

日本にあるロースクールで、定員割れを起こしている学校の割合だ。異常な数字だ。

経済や社会のグローバル化の流れの中で、ビジネスの世界や行政の世界においても確実にリーガルイシューのニーズは高まっているにもかかわらず、日本の法曹界はいびつな司法制度改革によって、ロースクールにも法曹を目指す人材が集まらず、危機的状況に瀕しているといえる。日本の法曹界の競争力を底上げする改革が必要だ。

1. 法曹人口:法曹人材を増やし、活躍の場を積極的に拡げよ!

1999年に始まった司法制度改革では、法曹人口を増やすため、それまで年間500人だった司法試験合格者を3000人まで拡大する計画を立てた。

しかし、法曹、とくに弁護士の急増は、司法試験合格者の就職難などの問題を引き起こしたため、日弁連を中心に、法曹人材の質の低下などの問題があるとして、司法試験合格者数を減らすべきという主張が続けられた。現在、実際の司法試験合格者は、当初の計画よりも少ない年間約2000人で推移している。

実際、2000年頃には約2万人だった法曹人口は、昨年には約3万8500人となり、特に弁護士は約1万7000人から約3万4000人とほぼ倍になっている。このことは評価すべきだ。

しかし、法曹人口が急拡大した現在においてすら、日本の法曹人口は欧米に比べるとまだまだ少ない。冒頭でも述べたが、法務省の最近の資料によると、

人口10万人あたりの法曹人口は、

アメリカ 389人
イギリス 240人
ドイツ  222人
フランス 95人
韓国 37人

であるのに対し、

日本 29人

社会や文化的な構造が異なるとはいえ、アメリカの14分の1、イギリスやドイツの8分の1といった法曹人口であるのに、「急激に増えすぎていて異常事態だ」というのは言い過ぎであろう。

ポイントは、欧米と同様に法曹人材の活躍の場を増やすことだろう。法曹資格をもった人材が、法律の専門家ではなくジェネラリストとして、経営、行政など幅広い分野で活躍するのは、欧米では当たり前だ。

民間企業の活動領域においては、国際分野、企業法務の分野など今後ますます法曹有資格者の活動領域の拡大が必要とされる分野が大きい。加えて、裁判官・検察官・国際司法など、行政の分野でも潜在需要は大きい。

現状においては、法曹人口の拡大に、法曹人材の活用の拡大が追いついていないが、法曹界だけでなく、民間企業、行政が一体となって、日本の法曹人材の徹底活用を進めるべきだ。

加えて、供給の面では、法曹人材の活用が進むような多様な人材が供給される仕組みづくりも必要だ。

例えば、医師、公認会計士、税理士、弁理士、技術士、一級建築士などの専門職の有資格者や一定年数の業務従事経験者、外国における弁護士有資格者については、別枠で優遇されるような司法試験の制度設計を行えば、社会的ニーズのある専門性の高い人材が法曹界に供給されることになる。


医師免許を持ち、弁護士でもある参議院議員である古川俊治氏は、次の通り指摘する。「法曹人口の拡大は望ましいが、前提として、質の高い法曹であることが必要。昨今の司法制度改革の中で、法曹人口の量的拡大は進んだが、OJTなどの質の高い法曹を育成するプロセスが伴わなかった。国際業務や行政で法律専門家として活躍するに足る実務能力を身につけた法曹を、より多く育てることができるよう、制度の見直しが必要である。」

いずれにせよ、法曹に供給される人材の多様化、法曹人材の徹底活用によって、日本の法曹の質、量の面での底上げを進めるべきだ。

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