中国
モディ首相の訪日に感じた日印関係の可能性と、中国を抜きにしたアジア諸国との関係構築の難しさ
〔PHOTO〕gettyimages

「ぜひ日本企業に、インドへ来てほしい」

9月2日午後3時、ホテルオークラの「平安の間」に、日本の企業経営者など1000人余りが勢揃いした。この日、日経新聞が主催して、来日中だったインドのモディ首相が講演をおこなったのである。

私も、インドの新たな指導者となったモディ首相の人物像が見たくて、この講演会に駆けつけた。

品のいい土色の民族服に身を包んだモディ首相は、クジャラート州訛りという荒々しいヒンディー語(現地語)丸出しで、日本の企業経営者たちに語りかけた。

「インドではいま、LOOK EAST政策を実施しているが、日本もLOOK INDIAになってきているのを感じ、喜ばしい限りだ。

印日関係は、バジバイ首相と森喜朗首相の時代から、大いに改善された。私が初来日したのはクジャラート州知事時代の2007年で、日本のガバナンスや効率の良さに感動した。続いて、2012年にも来日した。

今回は3回目の来日だが、日本を見たら、もうほかの国へ行く必要がないくらい素晴らしい国だと再認識した。同様にインドも、日本企業にとって、一度投資してビジネスを始めたら、もう他国へ行きたくなくなるほど、魅力に溢れた国だ。

私はMAKE IN INDIAを広めたいのだ。私が若いころは、どんな電気製品を見てもMADE IN JAPANだったので、いちいち確認する必要がなかった。だがいまや日本は高コストで、製造業には向かなくなった。

私は、日本が50年かけた成長を、いまから数年のうちに成し遂げたいのだ。神はインドに恵みを与えてくれた。スズキ自動車の鈴木修社長とはよく話すが、『インドは海岸線にも恵まれていて、沿岸部で車を作れば内陸部で作るより、9,000ルピーも節約できる』と語っていた。

インドでは、これまで商業用トラックも「軍需産業製品」とみなされ、外資を拒否してきた。だが、私が首相に就任してわずか100日で、すでに軍需産業製品の55%を除外して、外資に道を開いた。これで、インドで製造すれば、近隣の小国でもどんどん売れる。

よく言われることだが、日本はハードウェアに優れ、インドはソフトウェアに優れている。両国はライバルではなくダブルウインの関係を築けるのだ。

私は今後とも、規制緩和に努力する。現在インドでは、50都市が地下鉄を待っている。だが、わが国だけでは50都市に地下鉄は作れない。ぜひ日本企業に、インドへ来てほしい。

12億5000万人の巨大市場、人口の65%が35歳以下という若くて優秀な労働力、そして民主主義、まさに3拍子揃った21世紀の世界でたった一つの楽園がインドだ。

私が首相になって、明日でちょうど100日になるが、たった100日でGDPは、4.4%から5.7%に上昇した。仏陀は『世界の人は家族だ』と言った。私も同様の気持ちを持って、日本企業を歓迎する・・・」

間近で見たモディ首相は、政治家というより、豪腕で荒々しい商人のようだった。また、1980年代の中国の政治家に似ていると思った。言うことが大ざっぱで、とにかく日本企業に手招きするところがソックリなのだ。それはとりもなおさず、いまのインドが、1980年代の中国のような状況にあるということなのだろう。

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