野球

二宮清純「カープ奇跡のV、北別府学の86年」

二宮 清純 プロフィール

精密機械と呼ばれたコントロール

「後半戦は3回までに1点とれば、もう勝てると思っていました。それだけピッチングに余裕があったということでしょう。19年間の現役生活で、思うように投げられたのはあの時だけです」

 具体的には?
「たとえばゲッツーをとる場合、コースいっぱいだと打球が死ぬのでゲッツーはとれない。だから、わざとボール半個分、甘いところに投げるんです。すると強い当たりになるのでゲッツーをとりやすい。ストレート、シュート、スライダー、カーブ。すべて意のままに操れました」

 当時、バッテリーを組んでいた達川光男(現中日1軍バッテリーコーチ)さんは、北別府さんを評して「ボールの縫い目で勝負できるピッチャー」と語っていました。

 それについて北別府さんは「縫い目ひとつは大げさですね」と苦笑いしながらも、こんなエピソードを披露してくれました。

「コースいっぱいに入った球をアンパイアにボールとコールされたことがあります。ならば、と僕は3球続けて同じコースに放りました。アンパイアの判定はすべて“ボール”。もう意地の張り合いでしたね」

 その北別府さんに広島逆転優勝のキーマンをあげてもらいました。
「僕は新外国人ピッチャーのデュアンテ・ヒースに期待しています。ヒザ元のボールがぐっと伸びるんです。球筋もコントロールもいい。登板した2試合を見た限りではフォアボールで自滅するタイプでもない。カープの救世主になるかもしれませんね」

 広島と巨人の直接対決は、まだ4試合残っています。

新生・ブルーバックス誕生!