メディア・マスコミ
池上彰氏のコラム掲載見送り騒動で傷口を広げた朝日は、紙面審査の「オンブズマン制」を導入してはどうか?
9月4日朝刊に載った池上彰氏のコラム

「訂正、遅きに失したのでは」

従軍慰安婦問題への対応をめぐり、朝日新聞が改めて批判の矢面に立たされている。ジャーナリストの池上彰氏が連載するコラム「新聞ななめ読み」の掲載をいったん見合わせたためだ。

池上氏はコラムで朝日による慰安婦報道検証を取り上げたものの、当初予定通りに掲載してもらえなかったため、連載打ち切りを申し出たという。社内外から批判の声が広がるなか、朝日は4日付朝刊で読者に謝罪すると同時にコラム掲載に踏み切った。

コラムの見出しは「訂正、遅きに失したのでは」。池上氏は朝日の慰安婦報道検証について「せっかく勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫びがなければ、試みは台無しです」と一刀両断している。

コラムを読み、個人的には「池上氏は実質的にパブリックエディターの機能を担っていたんだな」と思った。これまでにも当コラムで何度か触れてきたように、パブリックエディターは米ニューヨーク・タイムズに設けられたポストで、読者を代表して紙面を審査する役割を与えられている。アメリカでは同様のポストを設けている新聞社はほかにもある。

もちろん違いはある。池上氏が外部コラムニストであるのに対し、パブリックエディターは「オンブズマン」とも呼ばれる社内ポスト。通常は社外から選ばれたベテランジャーナリストが務め、編集局からも論説委員会からも独立。主に報道倫理に光を当てる定期コラムを持ち、コラム執筆に際しては社内の担当デスクや記者にも取材する。

8月8日公開の当コラムでも書いたように、朝日の慰安婦報道はニューヨーク・タイムズの「大量破壊兵器報道」を連想させる。2003年3月開始のイラク戦争に向けて同紙は「イラクに大量破壊兵器は存在する」と示唆する記事を何度も書き、当時のブッシュ政権によるイラク戦争正当化を後押ししたのだ。

結果的にイラクでは核兵器や生物・化学兵器などの大量破壊兵器は見つからず、ニューヨーク・タイムズは同業他社から容赦なくたたかれた。強制連行証言をうのみにするなど慰安婦報道で過ちを犯し、同業他社から容赦なくたたかれている朝日の現状とそっくりである。自社報道の検証記事を載せた点でも同じだ。

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