磯崎哲也さん【前編】 「優先株式を使いこなせば日本からGoogleやFacebookが生まれる!」
『起業のエクイティ・ファイナンス』著者に聞く
[左]『起業のエクイティ・ファイナンス』著者の磯崎哲也さん、[右]藤野英人さん
「ひふみ投信」のファンドマネジャー・藤野英人氏が新刊の著者にインタビューする新連載がスタート! 記念すべき第1回目のゲストは、7月にダイヤモンド社より発刊された『起業のエクイティ・ファイナンス』著者の磯崎哲也氏。投資家としてベンチャー界を見てきた二人がこれからの投資に必要だと語る「優先株式」とは? <構成・田中裕子>

このままでは日本のベンチャーは滅びてしまう

藤野 新刊を出した著者に私が根掘り葉掘り聞く、という連載を始めることになりました。その記念すべき第1回目で、磯崎さんの新刊『起業のエクイティ・ファイナンス』をぜひ取り上げたいと思い、声を掛けさせていただきました。

磯崎 それは光栄です。よろしくお願いします。

藤野 今回の新刊、『起業のエクイティ・ファイナンス』の前作である『起業のファイナンス』を2010年に世に出されていますが、まずこちらを執筆されたきっかけを教えていただけますか?

磯崎 実は、藤野さんにお声がけいただきパネラーとして参加した『起業を増やさナイト』が1つのきっかけです。150人の中規模イベントだったのですが、ものすごい熱気で。それまで、イケてるベンチャーは、いい情報やアドバイザーに自然とたどりつくものだと思い込んでいました。しかし、実際はみんなもっと情報を欲していると気づいたんです。今でこそ起業関係のイベントは毎日のように開催されていますが、当時は、おそらく年に数回程度でしたよね。

藤野 ええ、日本のベンチャー界は"死んでいる"状態でした。

磯崎 「このままだと日本のベンチャーは滅亡するのでは」と思っていたところに『起業を増やさナイト』に集まっている若者たちの熱気を見て、情報さえあれば日本のベンチャーはまだまだ盛り上がるのではないか、と感じました。同時期に、ベンチャーの面白さを啓蒙するためにセミナーを行なっていたのですが、そのセミナーを本にしませんか、と編集者からお話をいただいたんです。

藤野 それが、今回の『起業のエクイティ・ファイナンス』と同じ編集者だったんですね。

磯崎 はい。「セミナーを本にするならラクだろう」と思って引き受けたんですが、それがまったくの誤算で(笑)。喋ることと書くことは違うということを痛感しつつ、ほとんど全部書き直しました。 

起業のエクイティ・ファイナンス』
著者= 磯崎哲也
ダイヤモンド社 / 定価3,888円(税込み)

◎内容紹介◎

2010年に発売されるや、ベンチャー関係者のバイブルとなった『起業のファイナンス』に待望の続編が登場! 現在、加速度的に増加しているベンチャーへの増資やM&Aに対応するために、本作ではより専門的なエクイティ・ファイナンス(株式を使った資金調達)の知識と実務手続きを解説。まさに今、ベンチャーや起業家が必要とする知識が網羅された、決定版ともいえる内容です!

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藤野 予想外・・・というのは失礼ですが、読者を選ぶ専門書にもかかわらず、『起業のファイナンス』はしっかり売れましたよね。

磯崎 あの本のテーマである「株式での資金調達」をするベンチャーは、せいぜい年間1000社程度なので、はじめのころは「ベンチャーのCEOやCTO、弁護士に数千冊売れればいいかな」と思っていたのですが。

藤野 現在の部数は?

磯崎 累計で約3万部ですね。

藤野 3万部! それはすごいですね。

磯崎 手前味噌ながら、多くの起業家やベンチャーキャピタル(VC)の方に読んでいただいています。総部数はもちろんですが、日本のベンチャー界での浸透率は相当なものではないでしょうか。

藤野 私のお会いする起業家も、「会社を作るときにまず『起業のファイナンス』を読んだ」と言う方が多いです。前著にベンチャー・ファイナンスの基本はだいたい書いてあるなかで、なぜ今回、エクイティ・ファイナンス(株式による資金調達)に特化して執筆されようと思ったのですか?

磯崎 先ほど申し上げたとおり、「このままだと日本のベンチャーは滅びてしまう」という危機感から執筆したのが前著です。あれから4年が経ち、日本のベンチャー界も新しいフェーズに入ってきたからです。

藤野 新しいフェーズ?

磯崎 少額のファイナンスでうまく成長した企業は、ある程度出てきました。しかし、初期段階からもっと大きな投資を行なうことができれば・・・具体的には、社会全体が優先株式を使いこなせばもっと伸びる会社はたくさんある、日本からGoogleやFacebookのような企業も輩出できる、と気づいて、その方法論を伝えるために、この本を執筆することにしました。

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