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朝日新聞の罪と罰第2部「右」からも「左」からも緊急アンケート 識者30人「慰安婦報道、私はこう考える」

日韓関係を〝破壊〟した

朝日新聞の慰安婦報道とその検証記事は、どのように読まれたのか? 本誌はこの問題に注目する30人にアンケート調査を行った。

アンケートにあたっては普段の発言から、思想的に「右寄り」「左寄り」と思われる人も含め、幅広い意見を持つ識者を選んだが、「検証記事の内容に納得がいかない」と答えた人が24人と大勢を占めた。

「日本を不当な名誉毀損から救うためではなく、自らを守ることだけが目的だと一目瞭然」(青山繁晴氏)

「検証に踏み切ったことは評価するが、なぜこれまで検証できなかったのか、そして、なぜいま振り返るのかという説明がない」(大谷昭宏氏)

「『他紙の報道は』という欄を設け、誤報はお互いさまだと言わんばかりの卑劣さ」(古田博司氏)

また、多くの識者が、「朝日の誤報が日韓関係悪化の一因になった」と考えていることもわかった。

「朝日は読者数も多く、国際政治にも影響力を持っている。日韓関係に多大な迷惑をかけたと謝るべきだ」(鈴木哲夫氏)

「強制連行が事実なら、若い女性が拉致、監禁、強姦されていたことになる。それが真実だとしたら、韓国人は永遠に日本人を許さないだろう。日韓関係を完全に〝破壊〟した過去の報道を振り返り、真摯に謝罪すべきだ」(門田隆将氏)

しかし、「『諸悪の根源は朝日』という非難は、朝日に対する過大評価。むしろ、韓国メディアの報道のありかたにも問題があるのではないか、という視点が必要」(江川紹子氏)、「朝日の記

事だけで二国関係はここまでこじれない」(斎藤貴男氏)などと、行き過ぎた「朝日責任論」を正す意見もある。

いずれにしても、朝日新聞が過去の誤報に対する説明責任を果たしたと見る向きは少ない。

「全世界に向けて各国言語で謝罪記事と自己批判を送り、経過説明をする必要がある。そしてアメリカの大新聞に全面広告を出すべきです」(麻生千晶氏)

「『虚偽を見抜けませんでした』で済まされてはたまったものではない。都合の悪いことには口をつぐみ、常に進歩的な顔をして報道するのは、そろそろやめるべきだ」(岩瀬達哉氏)

朝日新聞が、このような中途半端な検証記事の掲載に踏み切らざるを得なかった状況について、ジャーナリストの青木理氏は次のように分析する。

「朝日社内にも、誤りは訂正すべきだという正論はかなり以前からあったそうです。また、悪化する日韓関係に突き刺さった慰安婦問題という『トゲ』を抜いておくべきだという考えもあったはずです。だがそれよりも、バッシングに『耐え切れなくなった』というのが事の本質に近いでしょう。

現在、政界にもメディア界にも歴史修正主義の風潮がかつてなく蔓延り、『反日』的な動きには猛烈なバッシングが浴びせられるようになっています。その象徴として朝日は近年、執拗な攻撃を受けてきました。こうした状況に耐え切れず、今回の検証に追い込まれたのではないか。

だとするならば、この件は一メディアが誤報を取り消したといった次元の話ではなく、日本社会が大きく変質していることを象徴的に示す『事件』と見ることができるでしょう」

同じくジャーナリストの岡留安則氏は語る。

「朝日も組織が大きくなり、官僚化しています。権力をチェックするというジャーナリズムの第一義的な社会的使命を放棄しない報道を守り続けてほしい」

誤報一つとはいえ、問題の根は深い。巻き起こる批判に正面から向き合い、自省することなしに、朝日新聞に未来はないだろう。

「週刊現代」2014年9月6日号より

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