篠崎史紀 第1回 「モーツアルトは宇宙人的な天才。ベートーヴェンはすべてが計算ずく」

2014年09月10日(水) 島地 勝彦

撮影:立木義浩

<店主前曰>

NHK交響楽団のコンサートマスター篠崎史紀さんは、ファンからは「マロさん」という愛称で親しまれている。日本人離れした体格と繊細なセンスの持ち主で、じつにチャーミングな男である。

どうして「マロ」なのか。それはむしろ日本的な彼の容貌に由来する。小学生の頃、歌麿の歌舞伎絵と写楽の美人画を見ていた友だちのひとりが、篠崎少年の顔が写楽の絵にそっくりなことに気がついた。ところが彼は写楽と歌麿を混同して「歌麿」の方があだ名になってしまった。そこから派生して「マロ」と呼ばれるようになったという。

篠崎少年は高校卒業後、ヴァイオリン修業のためウィーンに留学したのだが、幸いなるかな、ウィーンでこのあだ名が役に立った。西洋人にとっては「SHINOZAKI」も「FUMINORI」も覚えにくいが、「MARO」は「マリオ」や「マリア」に似ているので発音が簡単だったのである。

N響コンサートマスターに就任して17年、その重責を担いながらも演奏会以外の活動や後進の指導など多岐にわたって活躍する「マロ」は、クラシック音楽をやるために生まれてきたような男である。

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シマジ マロさんは背が高くて体格も立派ですが、海外で活動するうえで身体が大きいということはやっぱり重要なことですか?

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篠崎 それはあまり関係ないですね。ただ海外ではぼくの体型は標準サイズになるので、洋服や靴が選びやすいという点では非常に助かっています。

シマジ 高校卒業後はウィーンに留学して、ときには大道芸人のように道端でヴァイオリンを弾いたりもしていたそうですね。

篠崎 はい。演奏会の場合は、お客さまは演奏者か曲目のどちらかをターゲットにして来ているわけですから、自分の思うままに弾けばいいんです。でも路上で弾くとなると、通行人の耳に留まる何かを持っていなければ誰にも聴いてもらえない。ぼくはそのころ、自分がどんな人間なんだろうということに大変興味があったので、路上で弾いてみることで自分がヴァイオリンをやっていてよい人間なのか否かを確かめてみたかったんです。

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