町田徹「ニュースの深層」
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グローバルスタンダードを根拠に
日経新聞を批判するFT&ブルームバーグの横暴

2014年09月02日(火) 町田 徹
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FTの本社。昨年125周年を迎えたのだが・・・                                       photo Getty Images

日経新聞の「スクープ」を英米メディアがやり玉に

英米を代表する経済メディア、フィナンシャル・タイムズ(FT)とブルームバーグが8月初め、今年4~6月期の企業業績に関するスクープを連発した日本経済新聞をやり玉に挙げる記事を相次いで掲載した。

両メディアに共通しているのは、日経だけが公式発表前に精度の高い予測記事を連発できたのは、日本の市場が国際慣行に反して閉鎖的なためであり、そうした状況を黙認し続ける政府当局に対して批判が高まっているという趣旨である。

しかし、企業業績に限らず、あらゆる分野でマスメディアが特ダネを追うのは、ごく当たり前のことだ。おカネを払ってくれる自社媒体の読者に対し、他のどこよりも早く最新ニュースを届けたいという本来的な矜持の発露と言ってよい。

「グローバルスタンダード」の美名のもとに、読者サービスの低下を迫る外国メディアの主張には、かつて同じような理屈を根拠に収益至上主義を日本の経済社会に押し付けようとしたグローバル金融資本と同種の悪意を感じずにはいられない。

フィナンシャル・タイムズ記事は当局の対応を要求

まず問題の両メディアの記事を紹介しよう。

FTは、8月5日付の新聞紙面で「日経の比類ない業績予測に目を瞑る日本の規制当局」、同4日付のインターネット版では「“日経予想”が高めるホームアドバンテージ批判」と見出しこそ変えたものの、記事の内容はほぼ同じである。

その記事は冒頭で、「まぐれあたりか、それ以上の何かが存在するのか」と問題を提起してみせ、7月最終週にピークを迎えた4~6月期の上場企業の業績発表にあたって「悪名高い慣行が繰り返されたことは、よく知られている。発表前に、日経新聞に結果が掲載されていたのである」と、猛烈な批判を展開したのだ。そのうえで、「他の国ならば、情報開示違反や価格形成に影響のある情報への平等なアクセスの欠如として、当局が問題にしかねない」と、政府に何らかの対応を要求する内容となっている。

FTが根拠にしたのは、スマホゲームの好調で業績が拡大したガンホーと、コピー機の売り上げが伸びたキヤノンに関する記事だ。前者は1~6月期の売上高が943億円、営業利益が538億円だったが、日経は発表の6日前にそれぞれ930億円、500億円に達した模様と報じていたという。後者では、4~6月期決算の発表の2週間前に営業利益の見込みを1100億円と、それまでのアナリスト予想(900億円)を大きく上回ったのではないかと報じ、実際の結果も1105億円と極めて正確だったことが不可解だと決め付けている。

FTは、ガンホーやキャノンが日経の独自の取材に基づく推測記事に過ぎないと説明しているとしつつも、会社によるリークの可能性が高いとし、「政府が外国人投資家を重視している昨今、日本に害をもたらすことになるとの声もある」との批判を展開した。

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