田原総一朗のニッポン大改革

新聞はジャーナリズムでもネットに負けるのか

ITジャーナリスト・佐々木俊尚インタビュー vol.1

2010年04月02日(金) 田原総一朗
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田原 ついにインターネットの広告費が新聞を抜きましたね。

佐々木 電通が発表した2009年の日本の広告費で、始めてネット広告が新聞広告を逆転したんです。ただ、ネットの広告費が「抜いた」というより、「新聞が凋落した」という要因が大きいんですが。

 新聞の広告費は2001年には1兆2000億円以上あったんですが、2009年にはついに7000億円を切る水準にまで落ちている。

田原 半分近くにまで落ちた。

佐々木 そうです。ものすごい勢いで凋落している。

田原 テレビもそうとう低落しています。

佐々木 テレビはまだ"微減"ですね。2兆円を超えていたものが1兆7000億円になったくらいですから。落ち込み方は新聞のほうが激しいですね。

田原 新聞の広告費が落ちたということは、スポンサー企業が「新聞には広告価値がない。むしろネットでいくんだ」と判断した結果だと思いますけど、この現象をどう見ていますか?

佐々木 企業はまだ、マス、つまり一般大衆に対して情報・広告を発信しなければいけないという気持ちはある。だから、必ずしもネットだけでいいとは思っていないんです。でもそれは、テレビの広告にいっちゃうんですね。テレビはまだ若い人が見ているからです。

 だけど新聞は、どんどんどんどん読者の高齢化が進んでいて、特に都市部の30~40歳代の中心層は新聞を読んでいないことが明らかになってしまっているんです。広告効果もないし。

ネットにあって新聞にないもの

田原 でもネットは動画もあるけれど、ヤフーが扱うニュースにしても基本的には文字でしょう。同じ文字なのに、なんで読者は新聞を読まなくて、ネットに行くんですか。

佐々木 もちろん一番大きな要因は無料であるということでしょう。でももう一歩突き進めて言うと、都市部に住んでいるような政治的関心の高い人から見ると、新聞よりもインターネットの言論空間のほうが、はるかに多様性が確保されているという現実があるんです。要するにいろんな意見が出ていて、それを横断的に読めるというんです。

   朝日新聞を読んでいると朝日新聞の論しか読めないんですけど、現在はその朝日新聞が言っている内容が本当に正しいのかどうか、すごく懐疑的に受け止めている人が増えているんです。

 朝日がこう言っているけれど、それが本当に正しいのかどうか。ひょっとしたら違う見方もあるんじゃないか。そう思ってネットを見ると、「朝日が言っていることはおかしい」と書いているブロガーとかいっぱいいて、「なるほど、こういうことなのか」と初めて納得する。

 もちろん一次情報は新聞で提示されているんだけれど、それをどう意味づけるのかという部分は新聞ではカバーしきれなくなってきている、という状況があるんです。

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